「やまぐち県空中発射プロジェクト※1」は、「やまぐち産業イノベーション促進補助金(航空機・宇宙産業関連分野)※2」に採択され、最終年度である本年度では、事業化に向けたその集大成として、液体式小型ロケットと100kg級小型衛星の一体型開発モデルの構築ならびにサブスケールロケットを使った空中発射システム試験、さらに成層圏気球用バルーンスラスタの設計開発を行うとのこと。
〔詳細〕
1)液体式小型ロケットと100kg級小型衛星の一体型開発モデルの構築
本プロジェクトは、顧客満足度No.1の宇宙輸送事業者になることを目指し、地球観測市場のニーズを満たす『成層圏からの空中発射システム』を開発する。
このため液体式小型ロケット開発と並行して、搭載して打上げることを想定した100kg級小型衛星の設計開発を行い、これを基本としたロケットと衛星の一体型の開発モデルを構築する。
今回設計開発する100kg級小型衛星は、高解像度の観測を実現するセンサを搭載し、多数の同型機を地球周回軌道に投入して、コンステレーション観測を想定したものである。
本プロジェクトは、この地球観測システムを必要とする衛星データプロバイダ事業者、またその供給網を支えるために、高頻度、低コストの宇宙輸送システムの実現を図る。
2)サブスケールロケットを使った空中発射システム試験
本試験では、『成層圏からの空中発射システム』の機能検証を行うことを目的とする。
今回は、全体システムの開発課題の中でも最も重要な、気球から下に懸架する姿勢制御装置の機能確認をするとともに、無線点火装置を含むロケットの構成や機械的条件を確認する。
発射試験は2020年7月の実施を予定し、後日試験結果を公開する。なお試験日時、場所は非公開とする。また、取材を希望するメディアについては個別に対応する。
3)成層圏気球用バルーンスラスタの設計開発
本プロジェクトが開発する『成層圏からの空中発射システム』は、液体式小型ロケットを高度30km近傍の成層圏に到達させるために浮揚ガスを充填した気球を使用する。
今回設計開発する成層圏気球用バルーンスラスタと呼ぶ装置は、気球内部の浮揚ガスを噴射して高度の調整を行い、さらに噴射方向の工夫により気球に蓄積した角運動量の解消する機能を有する。これにより気球側の目標高度到達精度を高めることの他、気球側の姿勢安定を実現する。
※1:正式名称「液体式小型ロケット空中発射事業に於ける発射装置の研究開発」
※2:山口県と(公財)やまぐち産業振興財団が航空機・宇宙機器産業分野に取り組む研究開発や事業化の促進を図ることを目的に設置した補助金制度
ニュースリリースサイト(AXS):https://www.axs-jp.com/2020/06/post-17.html