製品名
「農業ITプラットフォーム みどりクラウド」
株式会社セラク みどりクラウド事業部
みどりボックス・みどりモニタ
みどりクラウドは、これまで勘と経験で行われてきた農業のデータ化を行うことにより、農業の可視化、農業生産の機械化、AI・機械学習を活用した生産技術の向上、付加価値の高いフードバリューチェーンを実現する農業ITプラットフォームである。その中で「みどりボックス」・「みどりモニタ」は圃場の環境を計測・撮影することでデータ化を行い、そのデータを可視化する役割を担っている。
みどりボックス
みどりボックスは通信ゲートウェイとセンサを備えたIoTデバイスであり、2分おきに圃場環境を計測し、そのデータをクラウドに送信する。センサは有線(RS-485ベース)、もしくは無線(プライベートLoRa)にて、最大で1台のボックスに36個のセンサを接続することができる。(有線で接続した場合は最大50m、無線接続の場合は最大500m離れたところを計測可能)ボックスに集約されたデータは3G回線、もしくはWi-Fi回線にてクラウドに送信される。
計測可能な項目は、温度・湿度・日射量・土壌水分・CO2濃度・土壌EC・養液pH・風向風速・水位であり、そのほか、カメラによって静止画の撮影を行う。農業生産を最大化するためには光合成に最適な環境を作り出すことが不可欠であり、これらの項目を計測し可視化することが、光合成により適した栽培環境を作り出すことにつながる。
・利用可能なセンサ
温湿度センサ
温度精度±0.3℃、湿度精度±2%RHのチップを採用。センサチップはバンドギャップ式温度センサと静電容量式湿度センサを内蔵し、同一ポイントで温度と湿度を計測、表面には防塵防水カバーを備え付けることで悪条件下にも耐え得る性能としている。
温度センサ
誤差1%程度の高精度のサーミスタ。作物により測定すべき箇所が異なるため、測定項目を温度のみに特化し、耐水性を向上させることで気温だけでなく、培地温度や養液の水温も測定可能。
日射量センサ
可視光領域から近赤外光領域の領域に感度を持つフォトダイオード(400 ~ 1100 nm)を採用し、光の強度を測定。実際の太陽光はさらに幅の広い領域であるため、測定可能領域から太陽光の強度を算出している。日射量センサは屋外の設置も想定されるため、耐塵・耐水性能を有する。
土壌センサ
株式会社A・R・P製の土壌センサを採用。土壌中の水分量・温度・電気伝導度の3項目を測定可能としており、潅水の目安や施肥管理に利用されている。
CO2センサ
非分散型赤外吸収法によって測定された空気中のCO2の体積混合比を測定。光合成速度と強い相関を持つCO2濃度を把握し、適切な管理を行うことで植物の生育を最大化することに利用される。
風向風速センサ
超音波式で風向、および、風速を計測。風の状態に合わせた施設管理を行うことによって、品質の向上や安定した生産に役立てることができる。
水位センサ
水圧をもとに水位を計測することができる投げ込み式水位センサ。遠隔から水位を確認することができるようになることで、水位管理の見回りにかかる労力を削減することができる。
静止画カメラ
120万画素のWEBカメラにて撮影を行う。静止画撮影は、制御機器の動作監視や植物体の生長記録、圃場内の監視などに利用されている。
センサ類 | 測定項目 | 測定範囲 | 精度 | 測定最小分解能 |
---|---|---|---|---|
温湿度センサ | 温度 | -20~60 ℃ | ±0.5 ℃ | 0.1 ℃ |
湿度 | 0~100 %RH | ±2.0 %RH | 0.1 %RH | |
温度センサ | 温度 | -20~60 ℃ | ±1.0 ℃ | 0.1 ℃ |
日射量センサ | 日射量 | 0~1100 W/m2 | ±3 % rdg. | 1 W/m2 |
土壌センサ | 体積含水率 | 0~100 %VWC | ±5 %VWC F.S. | 0.1 %VWC |
温度 | -10~50 ℃ | ±1.0℃ | 0.1 ℃ | |
電気伝導度 | 0~7000 μS/cm | ±5 % F.S. | 10 μS/cm | |
CO2センサ | CO2体積混合比 | 0~5000 ppm | ±30 ppm ±3% rdg. | 10 ppm |
風向風速センサ | 風速 | 0.0~40.0 m/s | ±1.0 m/s | 0.1 m/s |
風向 | 0~359° | ±5° | 1° | |
水位センサ | 水位 | 0~1000 mm | ±5 mm | 1 mm |
・制御機能
みどりボックスには三基計装株式会社の複合環境制御盤「ふくごう君」を接続することができる。「ふくごう君」は自動で環境制御を行う装置であるが、みどりボックスと接続することで、遠隔からその設定を確認、変更することができるようになる。施設園芸における環境管理にかかる工数は全体の30%にも及ぶが、この機能により、その省力化を実現することができる。
みどりモニタ
みどりボックスで収集したデータは、クラウドに蓄積され、そのデータをみどりモニタ(PC・スマートフォン・ガラケーに対応)にて確認することができる。みどりモニタでは、各計測項目の現在値、前日、および、前々日の最大値・平均値・最低値を確認することができる。また、1時間~1年間の各項目の推移をグラフで確認することができる。計測データの他に、計測値をもとに算出した有効積算温度・低温積算温度・日照時間や、気象庁が提供している全国を5kmメッシュに区切った気象予報データ(気温・雨量・雲量・風向・風速)を提供している。こうしたデータにより、適切な作業タイミングや収穫時期の予測、将来の環境を予測することに活用することができる。
各項目には上限・下限の閾値を設定し、その閾値を超えた場合に警報を通知する警報機能が備わっており、圃場が異常な環境になった場合にすぐに把握することができる。こうした機能により、農業生産におけるリスクを回避することができる。
みどりモニタのデータは承認しあった他の生産者と共有することができる。例えば、生産技術の高い生産者と新規就農者が共にみどりモニタを利用し、そのデータを比べることで新規就農者の技術力の底上げに活用することができる。
データの活用
みどりボックスにて収集されたデータは、統計やAI・機械学習を用いて分析することで、生産性の向上やより安定した農業経営に活用することができると考えられる。 当社では、立体画像を取得可能に改良したみどりボックスを利用し、植物体の草丈を自動的に計測し、その草丈と環境データから収穫時期の予測を実現する試みを行った。画像内の植物体のみを抽出するため、緑色に近い色を対象ピクセルとして抽出を行い、カメラから一定範囲内の奥行きにある対象ピクセルを植物体として、その他のピクセルを黒色へと加工した。こうして加工された画像をもとに植物体の高さを算出し、実際に目視で測定した結果を比較したところ、高い一致性を示した。現時点では草丈を自動的に計測するところまで実現したのみであるが、将来的には、こうしたデータとみどりボックスにて計測する環境データから、収穫時期を予測することができるのではないかと考えている。
問い合わせ先
株式会社セラク みどりクラウド事業部
TEL:03-6851-4831 FAX:03-6851-4832
e-mail: info@midori-cloud.net
https://info.midori-cloud.net