JAXA関連スタートアップおよび慶應大、「衛星利用ビジネス検定」の開発に着手

 (株)天地人、(株)sorano me、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、(国研)宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」)は、新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(以下、J-SPARC)」※の枠組みのもと、2023年12月より「衛星利用ビジネス検定」に関する共創活動を開始した。

 本共創では、天地人とsorano meが衛星データ利用人材拡大を目指し開発を進めている教材及び検定システム開発に、慶應SDMが社会課題解決型宇宙人材育成プログラムの実施等を通じた教育研究プログラムの設計のノウハウと、JAXAがJ-SPARC共創活動に取り組む中で培ってきた衛星データを事業者の提供価値に変換するノウハウを組み合わせることで、衛星利用ビジネス検定の事業化を目指す。最初のステップとして、プロトタイプであるβ版検定を試行的に開催する予定である。多くの方からフィードバックを得るとともに、衛星利用ビジネス検定の実現を加速するとしている。

【共創活動の背景】
 国内外で民間主導の宇宙開発が拡大し、人工衛星の数やデータ量が急速に増加している。しかしながら、衛星データを解釈し、利用できる人材が不足しており、エンドユーザまで広く価値を届けることができていない現状がある。

【共創活動の内容】
 2022年12月、天地人とsorano meは、両社で衛星データ利用人材拡大のための教材及び検定システムの開発に着手することを発表した。天地人は、衛星データ利用の採用分野や活用事例が拡大する中で、技術を担う人材の育成に注力したいと考えている。sorano meは、人財基盤開発事業「ソラノメイト」を通じて、業界全体の底上げをするために、他業界から宇宙業界への挑戦を志す方を積極的に呼び込み、宇宙業界の現場で活躍する人材育成に取り組んでいる。

 慶應SDMは、東京大学や東京海洋大学などと共に10年程度実施してきた「社会課題解決型宇宙人材育成プログラム」の実施経験や国内外の様々な社会課題を対象に衛星データを活用する研究開発や事業化をシステム思考やデザイン思考に基づいて取り組んできた知見に基づく教育研修プログラムの設計を行うと共に、検定内容の具体化に貢献する。

 JAXAは、J-SPARC共創に取り組む中で培ってきた「JAXA内外から必要な技術を集め、事業者の提供価値に変換すること」のノウハウをまとめ、衛星データを利用したビジネス創出を目指す際に必須となる基本的なマインドセットとして、衛星利用ビジネス検定を通して宇宙ビジネスプレイヤーに伝えることで、地に足ついた衛星利用ビジネス創出に繋げることを目指すとしている。

※:JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)
 J-SPARC(JAXA Space Innovation through Partnership and Co-creation)は、宇宙ビジネスを目指す民間事業者等とJAXAとの対話から始まり、事業化に向けた双方のコミットメントを得て、共同で事業コンセプト検討や出口志向の技術開発・実証等を行い、新しい技術を獲得し、新しい事業を創出する共創型研究開発プログラムである。2018年5月から始動し、これまでに40以上のプロジェクト・活動を進め、民間事業者による食、生活用品、教育、VR、エンタメ、アバター、通信、小型衛星コンステ事業の事業始動(商品化・サービスイン)にも貢献している。事業コンセプト共創では、マーケットリサーチ、事業のコンセプトの検討などの活動を、事業共同実証では、事業化手前の共同フィージビリティスタディ、共同技術開発・実証などの活動を行う。
https://aerospacebiz.jaxa.jp/solution/j-sparc/

プレスリリースサイト(tenchijin):https://tenchijin.co.jp/pressrelease/3572/?hl=ja