STマイクロエレクトロニクスは、車載グレード認定済みの同期整流式降圧DC-DCコンバータ「A6983」を発表した。同製品は、車体、オーディオ・システム、インバータ用のゲート・ドライバなどのアプリケーションに簡単かつ省スペースで統合することができる。
A6983には、低消費電力かつ低ノイズ構成の非絶縁型ステップダウン・コンバータ6品種と、絶縁型降圧コンバータ「A6983I」が含まれており、設計に応じて柔軟な製品選択が可能である。補償回路が搭載された高集積のモノリシック・デバイスであるため、フィルタやフィードバック回路、トランス(A6983I)など、外付け部品を最小限に抑えることができる。
非絶縁型のA6983コンバータは、最大3Aの負荷電流を供給し、最大負荷時の効率は88%(typ.)である。低消費電力を特徴とする「A6983C」は、高効率、低出力リップルを実現し、低負荷動作に対して最適化されているため、駐車中でもアクティブ状態のアプリケーションによる車載バッテリの消耗を最小限に抑えることができる。低ノイズを特徴とする「A6983N」は、一定のスイッチング周波数で動作し、全負荷範囲で出力リップルを最小限に抑えるため、オーディオ・システムの電源用途などに最適。両品種ともに、3.3Vまたは5.0Vオプションが用意され、出力電圧は0.85VからVINの範囲で調整可能である。
A6983Iは、フォトカプラを不要とする、1次側制御用の10W絶縁型降圧コンバータ。トラクション・インバータやオンボード・チャージャ(OBC)の、IGBTやSiC MOSFETを駆動する絶縁型ゲート・ドライバに最適で、1次側の出力電圧を正確に制御することで2次側電圧も制御でき、2次側電圧は変圧器の巻線比で決定される。
絶縁型、非絶縁型すべてのモデルで静止電流を25µAまで低減し、節電用のシャットダウン・モードにおける消費電力はわずか2µA未満である。入力電圧範囲は3.5V~38V、負荷ダンプ耐性は40Vまで可能なため、主電源バス上の過渡電圧による破壊を防ぐことができる。また、出力過電圧保護、過熱保護、内部ソフトスタートなどの保護機能も備えている。さらに、オプションのスペクトル拡散技術により、ノイズ・センシティブなアプリケーションの電磁干渉(EMI)を抑えることができる。電源投入のシーケンスを構築できるパワーグッド・ピンも備えている。A6983IおよびA6983は、外部クロックに同期させることもできる。
A6983は、QFN16パッケージ(3 x 3mm)で提供される。1000個購入時の単価は、A6983が約1.75ドル、A6983Iが約1.81ドル。STのeStoreでは、A6983およびA6983Iの無償サンプルを入手可能。また、迅速な開発の立ち上げや、プロジェクトの加速に貢献する評価ボード「STEVAL-A6983CV1」(A6983)および「STEVAL-A6983NV1」(A6983)、「STEVAL-L6983IV」(A6983I)も提供されているという。
プレスリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001385.000001337.html