ドローン空撮で100メートル先の数ミリメートルの変形を計測

研究のポイント
・ ドローン空撮で橋梁のミリメートルオーダーのたわみを高精度で計測する技術を開発
・ ドローン空撮画像の位相解析により従来法の10倍以上の精度で画像ぶれ補正を実現
・ 画像変位計測によるインフラ構造物の効率的な健全性評価に貢献

 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」)分析計測標準研究部門 非破壊計測研究グループ 李 志遠 上級主任研究員、叶 嘉星 主任研究員、同研究部門 遠山 暢之 副研究部門長は、(株)CORE技術研究所(以下「CORE技研」)小椋 紀彦 研究員((兼)京都大学 インフラ先端技術産学共同講座 特定助教)と共同で、ドローン空撮による橋梁インフラのたわみ計測法を開発した。

 老朽化した橋梁の健全性を評価する一手法としてたわみ計測が実施されている。ここで、設置に手間がかかる従来の変位センサの代わりにドローンカメラでたわみ計測ができれば、山間部や海峡、河川に架かるアクセスの困難な橋梁などにおいても、効率的な点検が可能になる。しかし、ドローンなどの空撮では画像ぶれの発生により、ミリメートルオーダーのたわみ計測が困難だった。
 そこで、規則性模様を有する基準マーカーを導入して、そのマーカー模様の位相情報を活用した人間のバランス感覚に近い高精度な画像ぶれ補正技術を開発することで、従来の変位センサと同様に、ドローン空撮でも橋梁の健全性評価に必要とされるミリメートルオーダーの微小変位を計測することに成功した。本技術は、老朽化したインフラ構造物の効率的な維持管理に貢献し、将来的にはインフラ構造物の長期モニタリングの実現にもつながる技術として期待されるとのこと。
なお、この技術の詳細は、2024年1月9日に「Nature Communications」に掲載された。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000113674.html