DigitalBlast 東大と共同研究、宇宙ステーションを拠点とした新たな経済圏創出へ

(株)DigitalBlastは、東京大学大学院工学系研究科と社会連携講座「民間宇宙ステーションにおける宇宙資源利活用に向けた研究」を開設した。

●背景
 国際宇宙ステーション(以下ISS)は2030年に運用を終える予定となっており、世界では米国を中心に複数の民間企業による「ポストISS」を担う商用宇宙ステーション開発が進められている。日本においては、具体的な動きが未定となっているが、2023年6月に閣議決定した「宇宙基本計画」にISS「きぼう」日本実験棟を活用した民間の利用ニーズの掘り起こしや、ポストISSにおける日本としての在り方を検討する方針が記載されている。
 DigitalBlastは、2022年12月に日本国内における民間主導での宇宙ステーションを建設する「民間宇宙ステーション(CSS)構想」を立ち上げた。本構想は、将来の地球低軌道(以下LEO)の活動の場として、日本国内の民間主導で宇宙ステーションを構築することをゴールとしている。民間主導のLEO経済圏の構築に加え、この宇宙ステーションを拠点とする地球外天体間の宇宙機の往復を可能にし、In-Situ Resource Utilization(ISRU:現地調達における資源活用)の考えに基づき地球近傍小惑星(NEAs:Near-Earth Asteroids)の資源を活用する惑星間経済圏を創出するシナリオを描いている。
 こうしたなか、本講座では、探査機「はやぶさ」がサンプルリターンした小惑星「イトカワ」などの研究をけん引し、宇宙資源の研究の第一人者である東京大学の宮本英昭教授と、民間宇宙ステーション(以下CSS)における地球近傍小惑星の資源利活用に向けた月・小惑星の基礎的研究、および離発着プラットフォームの具体化を進める。

●研究内容
 DigitalBlastが計画する宇宙ステーションのモジュールは、小惑星で採取した資源や燃料等の保存・貯蔵・供給のプラットフォームとなる。宇宙資源の地上回収の他、宇宙ステーション内で3Dプリンタによるオンデマンド生産機能を実装し、In-Space Manufacturing(ISM:宇宙空間での製造)を実現することを目指している。
 担当教員を務める宮本教授は、火星や小惑星、月などの太陽系探査と宇宙資源の研究を国内外でリードされている。テラヘルツ波センサを用いて月面の水氷や金属資源の分布・存在量を調査する「TSUKIMI計画」にも参加するなど、小惑星や火星、月における宇宙空間の水や鉱物の有無を調べ、宇宙資源の活用にかかる研究に取り組んでいる。
 本講座は、宮本教授の指導のもと、CSSにおける地球外天体の資源利活用に向けた月・小惑星の基礎的研究と、宇宙資源利活用のための月・小惑星資源のデータベース化および市場規模の算出等を図り、CSSにおける月・小惑星探査機の離発着を可能とする構想の企画・検討を行う。将来の宇宙資源利活用に向けた研究を行い、新たな宇宙における経済圏創出の加速を図る。

●本講座の概要について
講座名称:
民間宇宙ステーションにおける宇宙資源利活用に向けた研究

研究目的:
地球近傍小惑星や月の資源活用のため、民間宇宙ステーション(CSS)における月・小惑星探査機の離発着を可能とする構想を具体化する。宇宙資源の活用を目的とした基礎研究および月・小惑星資源のデータベース化、市場規模の算出等の企画・検討を共同で実施する。

担当教員:
宮本英昭教授(東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻)

設置場所:
東京大学およびDigitalBlast

設置・研究期間:
2023年7月1日~2026年6月30日(3年間)

ニュースリリースサイト:https://digitalblast.co.jp/news/205/