ST、Qiワイヤレス充電器の開発期間を短縮するレシーバ / トランスミッタ評価ボード

STマイクロエレクトロニクスは、Qi準拠ワイヤレス充電レシーバIC「STWLC38」およびトランスミッタIC「STWBC86」をベースとした評価ボード「STEVAL-WLC38RX」および「STEVAL-WBC86TX」を発表した。これらの評価ボードは、最大15WのQi準拠ワイヤレス充電器の開発簡略化に貢献するという。

5W / 15WレシーバICのSTWLC38を搭載した評価ボード「STEVAL-WLC38RX」および、5WトランスミッタICのSTWBC86を搭載した「STEVAL-WBC86TX」は、ワイヤレス充電器の試作開発や試験の期間短縮に貢献する。両製品ともに、開発をサポートするワイヤレス充電トランスミッタ / レシーバ用の評価ツール「STSW-WPSTUDIO」とあわせて使用することができる。

レシーバICのSTWLC38は、Qi 1.3準拠の15W EPP(Extended Power Profile)および5W BPP(Baseline Power Profile)をサポート。5Wのトランスミッタとしても使えるため、機器間の充電において給電もできる。同期整流器と低ドロップアウト(LDO)リニア・レギュレータを集積しているため、受信コイルから電力を4V~12Vでプログラム可能なDC出力電圧に85%の変換効率で変換する。STの適応型整流設定(ARC)モードにより、使用可能な充電面積を最大化し、受信器の検出距離を50%延長可能。また、空間的な自由度が向上するため、機器を最適な給電位置にセットできるようになる。

Qi 1.2.4のBPPに準拠した5WトランスミッタICであるSTWBC86は、高効率、低インピーダンスのフルブリッジ・インバータとドライバを集積しているため、低消費電力化および部材コストの削減に貢献する。同製品は、PWM(パルス幅変調)周波数とデューティ・サイクルを調整することにより、送信コイルから転送される電力を制御する。

STWLC38およびSTWBC86は、幅広い入力電圧範囲で動作できるため、コンスーマ機器や産業機器に最適。両製品ともに、Arm® Cortex®-M0+コアによって最適な効率になるようにダイナミックに制御できる。また、不揮発性メモリ(NVM)を集積しているため、先進的な機能を提供し、ファームウェア・アップデートによるプロトコル更新が可能である。

STWLC38はWLCSP40パッケージ(2.12 x 3.32mm)、STWBC86はWLCSP72パッケージ(3.26 x 3.67mm)で提供され、熱管理および電気保護機能を内蔵している。いずれも小型のチップスケール・パッケージで提供されるため、スペースに制約のあるアプリケーションに最適。

両製品は、ワイヤレス充電トランスミッタおよびレシーバICをベースとしたソリューションの開発期間短縮に貢献します。スマートフォンやタブレット、スマート・ウォッチなどのウェアラブル機器、コンスーマ向け医療機器、ドラッグ・デリバリ機器、携帯型超音波システム、歯ブラシ、シェーバー、コンピュータ周辺機器、補聴器、充電ケース、電動工具、モバイル・ロボットなど、幅広いコンスーマ機器や医療機器、産業機器に最適であるという。

「STEVAL-WLC38RX」および「STEVAL-WBC86TX」は、現在STのウェブサイトから入手可能である。価格は、STEVAL-WLC38RXが72.28ドル、STEVAL-WBC86TXが84.53ドル。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001337.000001337.html