ST、高性能超音波スキャナの小型化・簡略化に貢献する高集積の高電圧ドライバ

STマイクロエレクトロニクスは、リニア・ドライバとパルス・ドライバを集積し、クランプ回路、スイッチング回路、診断回路を内蔵した超音波IC「STHV200」を発表した。
同製品は、医療用および産業用スキャナの簡略化、小型化、部品点数の削減に貢献するという。

3Aのリニア出力と2Aのパルス出力を備えるSTHV200は、医療用の高性能なカート型超音波エコーシステム、産業用の非破壊検査(NDT)装置、圧電トランスデューサの駆動などのアプリケーションに最適である。リニア回路とパルス回路は、それぞれが2チャネルを備えており、同じ高電圧出力ノードを共有することで、アプリケーションに応じて最適な出力を柔軟に選択できる。STHV200は、体内組織の撮像といったアプリケーションにはパルス波を、血流などの動的な測定には連続波を使い、臓器の健康状態や腫瘍の診断には組織の固さを調べるエラストグラフィを使って動作させる。

各リニア・ドライバは、4つのプログラム可能なゲイン・レベルを使って、出力信号を180Vppまで調整できる非反転オペアンプである。各チャネルは、ノイズと高調波を低減するように最適化されており、最大ゲイン設定で20MHz、最小ゲイン設定で25MHzまでの動作が可能。両チャネル共、ダイオード不要の出力回路設計になっており、歪みが抑制されている。同時に、グリッチの混入を抑えるために専用回路を使ってターンオン / ターンオフ時間を高速にしたため、ニアフィールド画像を取得できるようになる。

パルス出力のチャネルは、ハイサイド・トランジスタとローサイド・トランジスタの両方で最大2Aの飽和電流をプログラム設定できるハーフブリッジ・ドライバである。プログラム設定には、SPI端子を利用する。生成される出力電圧は200Vppまで変化させることができ、スイッチング波形のエッジを微調整することで、パルス波と連続波、およびエラストグラフィ・モードにおいて性能と消費電力を最適化できる。真のゼロクランプ回路も内蔵されているため、出力ノードを強制的にグランドに直結させることができる。

さらに、STHV200は、循環電流をクランプするためのフリーホイール保護ダイオードを内蔵しているため、誘導性負荷やアンチ・メモリ回路など、クランプ状態の間にすべての内部ノードを放電する場合に有効である。出力短絡保護機能も内蔵されており、出力ピンが短絡した場合でも危険な状態を回避する。IC全体のチェック機能および自動診断機能も内蔵・追加されているため、安全動作条件を確保できる。

STHV200は現在量産中で、48ピンのQFNパッケージ(7 x 7mm)で提供される。単価は約30.00ドル。

詳細については、ウェブサイト
(https://www.st.com/ja/switches-and-multiplexers/sthv200.html?icmp=tt33742_gl_pron_jun2023) を参照のこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001317.000001337.html