SUCS センシングトレインの標準化(2)

4.データマップによるプログラムレス化

 近年ノーコード、ローコードにより、プログラム作成のハードルは低くなっているが、プログラミングの考え方のスキルと穴埋め問題的なプログラムの作成は必要であり、依然としてセンシングシステムを作り上げるためのハードルは残されている。SUCSでは、そのハードルを無くしプログラミングが不要でIoTセンシングシステムの構築と計測データの可視化ができるものとなっている。

古川 洋之(ふるかわ ひろゆき)
アズビル株式会社
技術開発本部基幹技術部
古川 洋之
図4 プログラムレス
図4 プログラムレス

 図4に示す様にスマートフォンのQRコードの読み取り機能などを使って各ユニットの認可番号をクラウドに送ることでクラウドにメタデータが展開され2項で示したAD変換データの物理量変換と可視化が自動的に実行されスマートフォンなどで計測結果を確認することが可能となり、従来の計測システムより簡便にセンシングデータを利用することができる。
 また、SUCSではセンシングトレインを構築する際のプログラムレス化も実現している。表2に示すAD変換ユニットのデータマップの標準化を行うことで、通信ユニットからは所定のアドレスを読むことで標準化に対応した全てのAD変換ユニットのAD変換データなどの情報を得ることができる。SUCS1.0の規格ではセンサユニットは最大8chに対応したデータマップの構造となっている。なお、データマップには、センサユニットの接続数やデータ更新周期などのコンフィグレーションデータが用意されており、センシングトレインの起動時に通信ユニットからコンフィギュレーションデータを確認することで、設定作業なしでクラウドにセンシングデータの送信が可能となる。

プログラムレス化により専門的な知識が無くても簡便にセンシングシステムを構築でき膨大な潜在的なセンシングニーズへの展開がなされ、更には意図した計測結果が得られない場合には、ユニットの交換を行うことで、直ぐに新しいセンシングシステムを試すことが可能である。

表2 データマップ
表2 データマップ

5.活用シーン

 SUCSは、簡便に利用できるIoTセンシングシステムであり、図5に示す様に例えると気軽に人差し指の代わりに使えるものとなっている。ここではSUCSの活用シーンの中から代表的な2つの事例について紹介させていただく。
 まず一つ目は、図6に示すセンサメーカより頂いた製品開発の時短に有効との意見があった事例である。新しいセンサの開発の際には様々な実験や社会実装の検討を行う必要があり、独自の計測システムを構築するための時間と機器の準備が必要となっている。開発したセンサをSUCSのアナログ信号の標準化に準拠することで、他社のAD変換ユニットと通信ユニット、電源ユニットを使って直ぐにIoTセンシングシステムが構築でき開発の効率化に大きく寄与するものと考えられる。
 二つ目は、ユーザがやりたいコトがあった場合に、センサユニットを交換しながら最適な選択が可能となる事例である。図7では、「ポストに郵便物が届いたことを確認したい」コトを実現するためにセンサユニットを音、光、傾斜スイッチ計測用に交換しながら試すことができ、最適なセンサユニットの選択に辿り着くことができる事例である。
 他にも事例が掲載されているので、本稿末尾のホームページURLにて確認いただきたい。

図5 人差し指の代わりにSUCS
図5 人差し指の代わりにSUCS
図6 センサ開発の時短
図6 センサ開発の時短
図7 コト発想の実現
図7 コト発想の実現

6.おわりに

 以上、SUCSのセンシングトレインの標準化技術とその効果の一部について説明を行った。4つのユニットを使用した計測システムは図8に示す特許(特許7034887)を取得しており、SUCSコンソーシアムの参加企業は無償で利用が可能となっている。SUCSの世界の実現のために多くの方々の積極的な参加をお待ちしている。
 なお、SUCSは現在複数の新聞記事や雑誌で紹介され、展示会や講演などでの発表を通じて注目を集めている。今後も表の講演にて図9に示すデモ機を使った実演を交えた紹介を行うので、ご興味をお持ちの方は是非ご参加いただき、直接SUCSの技術に触れていただければ幸いである。

図8 SUCS関連特許(特許7034887)
図8 SUCS関連特許(特許7034887)
表3 展示会の予定
表3 展示会の予定
図9 SUCSトレイン プロトタイプ
図9 SUCSトレイン プロトタイプ

SUCSコンソーシアムへの入会案内ならびに関連情報は下記URLを閲覧いただきたい。
https://www.jisedaisensor.org/sucs/#member



【著者紹介】
古川 洋之(ふるかわ ひろゆき)
アズビル株式会社 技術開発本部基幹技術部
次世代センサ協議会社会 インフラ・モニタリングシステム研究会委員
次世代センサ協議会 SUCSコンソーシアム幹事

■略歴

  • 1989年04月山武ハネウェル株式会社 入社(現アズビル株式会社)
    温度調節器、地震センサなどの製品開発および遠隔遮断システムのプロジェクトリーダを経て、現在SUCSに関する研究に従事している
  • 2017年07月~次世代センサ協議会社会インフラ・モニタリングシステム研究会委員
  • 2021年10月~SUCSコンソーシアム幹事