総務省公募「周波数資源の有効活用に向けた高精度時刻同期基盤の研究開発」に採択

(株)コアは、総務省が募集した「令和4年度から新たに実施する電波資源拡大のための研究開発に係る提案公募」における「周波数資源の有効活用に向けた高精度時刻同期基盤の研究開発」について、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下「NICT」)、FCNT(株)と共同で応募し採択された。

●多点測位システムの研究開発
 5GまたはBeyond 5G実現後の社会において、各センサーや端末の時刻同期精度・位置精度を向上させることで、周波数資源の有効利用促進に貢献。

 5GまたはBeyond 5G実現後の社会においては、ドローン制御や自動運転をはじめ、長期的には無人工場や無人港湾の管理など、各センサや端末間で位置データ・高解像度画像等のデータをリアルタイムに処理する必要のあるユースケースの実現が見込まれている。本研究開発では、小型民生機器に搭載可能な小型原子時計と、 それを活用し近距離通信において各端末で時刻情報を高精度に同期・管理する時刻同期基盤(以下「高精度時刻 同期基盤」)を確立するとともに、端末の位置情報を正確に把握するための時空間座標情報基盤を実現する多点測位システムを確立する研究開発を行う。これにより、各端末の時刻同期精度・位置精度を向上させ、時間軸や空間軸での周波数資源の有効利用促進を目指す。
 コアでは、準天頂衛星みちびきセンチメートル級測位補強受信機を使用した小型原子時計搭載GNSSアンカーと、単眼カメラを活用した多点測位システムの開発を実施する。センチメートル級の高精度受信機を使用することで、従来のGNSS受信機に比べて測位精度と周波数安定性を1桁向上させ、時空間の座標基準としてのアンカーを実現する。また、世界測地系に準拠した測位を非GNSS環境にも適用するために、空間的に離れた複数センサによる物体位置推定と、異なるセンサによる物体位置推定を検証する多点測位システムを実現するという。

●研究開発の背景
 逼迫する周波数資源の有効活用には、無線ネットワーク の時刻同期精度の大幅な改善が必要不可欠

 ネットワークに接続されるIoTデバイスの数は今後も加速度的に増加することが見込まれている。また無線ネットワークにおいては、多数のモビリティ機器やセンサの間で画像等の大量のデータをリアルタイムに送受信する用途が拡充されるために、通信量がさらに爆発的に増大することが危惧されている。このような周波数逼迫の問題に対し、単純な周波数帯域の拡充だけでは、各デバイスに搭載されるアンテナやフィルタ等が増加して小型端末のボード面積が増大していくため、周波数資源の活用を時間軸や空間軸の観点から見直すことが求められている。
 空間的多重度は、断続的な通信途絶からの復帰等において逐一実行される同期処理等を抑制・削除することや、端末間の時刻同期精度および位置同定の精度を向上させて高指向性の電波送信技術と組み合わせることによって、高めることができる。一部の端末が占有する周波数帯域を最小限に抑制することによって、周波数資源を有効利用することが可能となる。この空間的多重度の向上を実現するためには、無線ネットワーク の時刻同期精度の大幅な改善が必要不可欠となる。
 本研究開発では、多くの通信ノードや小型民生機器を含むIoTデバイスが原子時計を搭載できる環境を整えるとともに、原子時計の搭載が困難な端末へもネットワーク内の原子時計搭載端末と連携させ、原子時計と同程度の精度の時刻推定を可能にするアルゴリズムを実現するという。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000070745.html