農業ロボット開発のAGRIST(株)は、自動収穫ロボットが最も性能を発揮できる生育環境構築を目的として、自社の試験圃場でピーマンの生育データ収集を2022年から開始した。
具体的にはビニールハウス内の温度や湿度といった環境データや生育状況に応じたピーマンの画像データの収集に加え、ロボットがパフォーマンスを最も発揮できるピーマンの仕立て方、剪定方法、栽培方法を自社の圃場で検証している。収集されるデータを基にロボットの仕様やピーマンの栽培体系を確立し、「再現性・収益性の高い農業」の実現を目指すという。
【再現可能データとは】
農作物は潅水等の一定量の入力をすると着果等の一定量の出力があると仮定する。その入力と出力を定量的に測定することで、入力と出力の相関関係を見つけることが可能である。
ハウス内の環境や栽培管理、土壌の内部環境を数値データとして可視化し、その入力データに対し、農作物がどのようにアウトプットするかデータ収集を行う。ハウス内環境データ、土壌の内部データは定点観測で各種センサにより収集する。株の状態は自動収穫ロボット「L」が圃場内を周回し、農作物の株の状態のデータを定期的に取得する。従来の定点観測で株の状態を測定しようとすると、カメラやセンサが複数台必要になり、非常に高額になってしまうのが課題だった。その課題をアグリストが開発する自動収穫ロボット「L」が解決する。
これらのデータを収集、蓄積、解析することで、過去に起きた事象の予測が可能になる。また、そのデータが様々な状況において蓄積されることで、予測の精度が高まる。この”予測”ができることにより、再現可能な農業が実現できる。アグリストはこの予測の元になるデータを「再現可能データ」と呼んでいる。
【データがもたらすもの】
再現可能データを収集することで、入力と出力の相関関係が可視化できる。それにより下記のような事が可能になる。
・ロボットの収穫効率化
・農作物の収穫量予測/向上
・農作物の育成ノウハウの定量化
・病害虫の早期発見
アグリストは100年先も持続可能な農業実現の為に、ロボットと人が共存する新しい農業を提案する。その実現には、ロボットが活躍できる環境を整えることも非常に重要になる。自社で建設した試験圃場や2022年3月に建設開始予定のアグリストファームでそれを体現し、全国に展開していくとしている。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000062.000050444.html