(株)MEDITAと、東急建設(株)は、建設現場における熱中症ゼロをめざし、ウェアラブルセンサにより取得した連続性のある体温データを解析して発症の兆しを検出する「熱中症予防管理システム」の実証実験を、都内の建設現場で開始した。
工事現場は、屋外作業や、屋内でも空調設備が整っていないなど厳しい労働環境にある。大型扇風機やドライミスト等による暑さ指数(WBGT値)の低減や、休憩場所の整備、水分・塩分の摂取、適切な休息時間の確保、ファン付き作業服などの対策が行われているが、全業種平均の2.5%に対し、建設業は4.9%という高い割合(※1)で熱中症が発生している。
今回実証を行う熱中症予防管理システムは、装着したウェアラブルセンサにより臍部(へその部分)の周辺温度のデータを連続して取得し解析することで、熱中症の兆しを検出するもの。その値を作業中の建設技能者や職長などの周囲の人にも情報送信し、休憩や給水を促し、熱中症を防ぐ。
本実証実験では、熱中症の予兆を判断する方法としての深部体温に着目した(※2)。深部体温は、脳や内臓など身体の中心部分の温度を指し、検温機器を挿入し直腸温を計測する方法が一般的であり、作業従事者に対する計測方法に課題があった。
今回の検出には、MEDITAが開発中のウェアラブルセンサを活用する。臍部周辺から深部体温の近似値データを連続して取得できるため、検出時に与える影響が少なく、作業従事者の身体的負担を軽減して実施することが可能という。
実証実験は、暑さの異なる8月と10月の2回を予定しており、実際に作業を行う建設技能者に終日センサを装着してもらい、取得データの精度や作業中の装着感の調査を行う。
※1 厚生労働省「令和2年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/000774750.pdf
※2(公財)日本スポーツ協会「熱中症の病型と救急処置」
https://www.japan-sports.or.jp/medicine/heatstroke/tabid916.html
■熱中症予防管理システム(画像参照)
熱中症は身体に徐々に蓄積された熱を排出できなくなった状態であるため、体温の上昇具合が急に変化するタイミングが、発症の判断点となる。通常時から連続して体温データを取得することで、異変の検知が可能になる。
臍部周辺の体温データを常時スマホとサーバーに送信し、体温急上昇など異変が発生した場合アラートを送る。
作業従事者本人のほか、職長や元請社員にもアラート送信されるため、本人に自覚症状がなく作業を続けている場合でも、周囲から休憩や給水を促すことが可能。
ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000037148.html