オンキョー、交通量推定用振動センサシステムに関する英語論文誌掲載

オンキョー(株)は、奈良先端科学技術大学院大学との間で産学連携した共同研究に関する協定の締結を行い、AIを活用した新事業の創出に向けて技術開発に取り組んでいるが、この度、奈良先端大ユビキタスコンピューティングシステム研究室との共同研究にて行った、交通量推定用振動センサシステムの研究成果について、センサ技術分野の英語学術論文誌である、”Sensors andMaterials”※1に掲載された。

1.背景
道路交通調査は、整備計画の立案やスムーズな道路活用によるCO2の削減を目的として、道路における交通量の実態調査と課題把握のために行われている。日本においては5年に1度、大規模な国土交通省による全国道路・街路交通情勢調査が行われているが、人手によらない機械計測による調査については、高速道路においてETC2.0プローブ等を活かした機械計測が活発に行われている一方で、一般道路においては機械計測が普及していない。「平成27 年度全国道路・街路交通情勢調査一般交通量調査結果の概要」(国土交通省)によると最新の平成27年の調査でも50%以上は人手による交通量の調査が行われており、機械化をいかにして早急に行うかが議論されている。この要因としては、現状のトラフィックカウンタが高価であること、装置の規模が大きいため設置と調整に時間と手間がかかること、またカメラを使用する場合はプライバシー対策が必要であることや、夜間で照明の少ない道路における車両検知が困難である等といった課題があった。
そこで同社は、音に関する技術を活用し、プライバシーへの侵害が少ない振動センサシステムを奈良先端大と開発し、車両通過時の道路の振動を採取、機械学習で分析し判定する技術研究を行ってきた。本論文はこのセンサシステムの実用化に向けた構造検討と振動音採取に関する研究の詳細や原理、ML-based LDAをもちいた車両分析の検討について述べているとのこと。

2.奈良先端大ユビキタスコンピューティングシステム研究室との共同研究について
奈良先端大ユビキタスコンピューティングシステム研究室は、センサ・デバイス・ネットワークが連携し、センサから取り込まれる実世界データを処理・集約・解析することで、高度なサービスを効率良くユーザに提供するシステム―ユビキタスコンピューティングシステム―の実現に向けた研究に取り組んでいる。※2
同社と奈良先端大ユビキタスコンピューティングシステム研究室は、モノを伝わる振動(音)データを機械学習によって分析をすることで、様々な分野での各種分析、判断へ応用することを目的に共同研究を行っている。同社が培ってきたオーディオ技術を用いて、微弱な振動(音)に含まれる特徴的な信号を忠実に増幅することによって得られたデータを使用して、機械学習・分析を行う奈良先端大ユビキタスコンピューティングシステム研究室と連携することにより、今後もこれまでにない幅広いニーズに対応するための研究を進めていく予定だという。

●論文名※3  「Traffic Census Sensor Using Vibration Caused by Passing Vehicles」

※1SensorsandMaterialsについてSensors and Materialsは、センサ技術や、関連材料、センサを応用したシステムについて、学術的な内容を掲載する査読付きの英語学術論文誌。1988年より実験や理論分野の独創的な研究を紹介しており、インパクトファクターのある論文誌。(インパクトファクターとは自然科学分野等で学術雑誌の影響度を数値化するために用いられる指標。)
※2奈良先端大ユビキタスコンピューティングシステム研究室HP「研究室の概要」より
※3出典:Sensors and Materials, Vol. 33, No. 1 (2021) 1–16
https://doi.org/10.18494/SAM.2021.2999Published on January 15, 2021

プレスリリースサイト(ONKYO):https://onkyo.com/news/images/20210205_NAISTSensorsMaterials.pdf