凸版印刷と東京理科大学、ZETAを活用し熱中症リスク表示

 凸版印刷(株)は東京理科大学と共同で、ZETA(※1)を活用し数メートル空間単位で熱中症に関するデータを収集・分析し、リアルタイムで個人に合わせた熱中症リスクを表示するサービスの開発に向けて共同研究を開始する。共同研究の開始に先立ち、2019年7月から9月末まで東京理科大キャンパス内とその周辺において、熱中症リスク評価センサとZETA通信の連動性の確認などを行う実証実験を実施しているとのこと。

 この共同研究は、東京理科大理工学部土木工学科 仲吉信人准教授が研究する、可搬型熱中症リスク評価センサを用い気温だけでなく、湿度・風速・日射・輻射熱の気象データから計算される体感温度指標と個人の属性(年齢・性別・着衣量・活動状況)や所在する環境などの情報を組み合わせ、リアルタイムで個人に合わせた熱中症リスクを表示するサービスの開発に取り組むもの。移動可能なセンサによるデータ取得と通信に活用するZETAの特長である、中継器によるマルチホップにより、LTE(携帯)電波が届かないエリアでも通信環境を延長でき、山間部などの遠隔地含めた広範囲なエリアの熱中症リスクを表示することが可能。これにより、従来では取得が難しかった市区町村よりもさらに細かいエリアにおける熱中症リスクのデータ取得を実現するという。また、ユーザー個人の属性・体感とセンサで取得した気象データを連携することで、従来の気象データによる熱中症リスク測定では考慮されていなかった、個人に合わせたリスク表示が可能となる。屋外労働者の労務管理や市民に向けた防災サービスとして熱中症予防への貢献を目指すとしている。

◇実証実験の概要
・場所:東京理科大学野田キャンパス、および周辺環境
・時期:2019年7月~9月末まで
・目的:可搬型熱中症リスク評価センサとZETA通信の連動性確認および今後の製品開発・サービス化 に向けての基礎データ収集
・主な実証内容
 ① 可搬型熱中症リスク評価センサとZETA通信の連動性確認
 ② 屋外活動時の熱中症リスク評価
 ③ クールビズの効果調査

◇役割
・凸版印刷:ZETA通信環境の整備、サービス化に向けたアプリケーションの開発
・東京理科大学:可搬型熱中症リスク評価センサ提供、取得データ分析、熱中症リスクガイドラインの策定、実証フィールドの提供

(※1) ZETA
ZiFiSenseが開発した、超狭帯域(UNB: Ultra Narrow Band)による多チャンネルでの通信、メッシュネットワークによる広域の分散アクセス、双方向での低消費電力通信が可能といった特長を持つIoTに適したLPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク規格。LPWAの規格のひとつであるZETAは、中継器を多段に経由するマルチホップ形式の通信を行うことで、他のLPWAと比べ基地局の設置を少なくでき、低コストでの運用が可能な方式。

ニュースリリース(TOPPAN):
https://www.toppan.co.jp/news/2019/09/newsrelease190906_3.html