ローカル5Gによるセンサネットワーク(1)

モバイルコンピューティング
推進コンソーシアム・上席顧問
/次世代センサ協議会・理事
岡崎 正一

通信事業者が全国展開する5G通信システムを、地域あるいは個別の自営網として活用するローカル5Gの検討が進んでいる。本稿では、5Gの現状とローカル5Gの概要、電波の特性などについて紹介する。なお、LOSサービスを提供するネットワークインフラの1つとして、ローカル5Gを考えることができる。

1.5G(第5世代移動体通信システム)の現状

1.1 5Gの特徴
通信方式がアナログ方式からデジタル方式に移行した1990年代の2G以降、高速化・大容量化が図られ、4Gでは動画・音楽などがスマートフォンなどで気楽に楽しめる環境を提供してきた。4Gまでは、移動体無線技術の高速・大容量化を狙ったものであった。
一方、5GではIoTの普及に伴いモバイル通信に対する要求が高速化だけでなく、IoTの基盤技術としても期待されている。5Gの主要3特徴を図1に示す。①の高速化だけでなく、IoTに対応した②の端末の多数同時接続、自動走行車や遠隔医療等と関連する③の超低遅延が5Gの特徴として挙げられる。

図1 5Gの主要3特徴

1.2 4Gから5Gへの移行
4Gから5Gへの移行シナリオとして、図2のシナリオが想定される。2020年の5G導入当初は、通信需要の高いエリアを対象に、5G用の新しい周波数帯を用いた超高速サービスを提供する。そのために新たな無線技術(NR:New Radio)に対応した基地局(NR基地局)は、LTE基地局と連携して動作するNSA(Non-Standalone)構成で運用する。(図2の左側)
5Gの普及期(図2の右側)では、超高速、多数同時接続、低遅延の要求に対応するサービスが段階的に提供される。また、5Gの新しい方式に基づくサービス提供のためにSA(Standalone)構成のNR基地局の運用が開始され、既存周波数帯域へのNR導入が進展する。

出典:総務省HP (http://www.soumu.go.jp/main_content/000593247.pdf)を元に作成
図2 4Gから5Gへの移行シナリオ(案)

次週に続く-

【著者略歴】
岡崎 正一(おかざき しょういち)
1975年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了.
同年三菱電機株式会社入社,基本ソフトウェア,ネットワークシステム,大規模応用システム開発等に従事.主な著書「UNIX-基本操作から実践活用まで-」,翻訳「PCパーフェクトガイド」等.
2012年より,MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)にて,IoTシステム技術等を推進.技術士(情報工学)、博士(情報学).