凸版印刷、日本初 LPWA ZETA通信モジュールを量産開始

凸版印刷(株)(以下 凸版印刷)は、低電力広域ネットワーク(LPWA)(※1)規格ZETAの基幹部品である、通信モジュール「TZM901」シリーズを開発、量産を開始したとのこと。
(画像:(左)ZETA通信モジュール「TZM901」(右)ZETA通信モジュール評価ボード)

ZETAとは、広範囲・低消費電力・低ビットレートの新しい無線通信規格で、凸版印刷はエレクトロニクス事業で培ったモジュール設計技術により、日本製ZETA通信モジュール「TZM901」を設計。ZETAアライアンス(※2)の会員である十和田エレクトロニクス(株)と連携し、同社の製造ラインにて試作、製造及び量産に向けた信頼性評価を行ってきたという。
また、UARTとI2Cコネクタを搭載し、100種類以上のGroveセンサモジュールと接続が可能なZETA通信モジュール向けの評価ボードも同時に開発、今後はZETA対応のデバイス開発や実証実験、産学連携におけるハッカソンイベント等での活用を目指すとしている。

■背景
LPWAの中で、ZETAは、超狭帯域 (UNB: Ultra Narrow Band)による多チャンネル通信、中継器を用いたメッシュネットワークによる広域での分散アクセス、双方向での低費電力通信が可能といった特長を持つ規格である。これまでのLPWAでは対応が困難だった山間部やトンネル、障害物が多い市街地、地下などの通信が届きづらい環境下でも、電池で駆動する中継器を設置することで、低コストに通信エリアを拡大し、安定した通信を行うことが可能となる。この特性を活かし、スマート農水産業、インフラのモニタリング、防災・獣害対策など、様々なIoTサービスの市場開拓が期待できる。凸版印刷は、 2018年9月、 ZiFiSense Co.,Ltd.と(株)テクサーとの協業により、ZETA通信モジュールの国内における製造ライセンスを取得し、開発を行ってきた。
今回、 TZM901の量産開始により、 ZETAを活用したIoT事業を推進していき、社会問題の解決に取り組むとしている。

■ZETA通信モジュールの特長
1) ローパワー双方向通信
2) アドホックネットワーク: 給電後、自動的にネットワークに接続
3) セルフヒーリングネットワーク: 接続が切れた後に、ネットワークの再接続を試み、データ通信の信頼性を保つ
4) ルーティング機能: 最適なトポロジーおよび通信スケジュールポリシーを選択し、効率的な通信を実現
5) UART接続インターフェース:UART接続により、マイコンを介して一般的なセンサと接続でき、シンプルな製品開発が可能

■ZETA通信モジュール用評価ボードの特長
1) UARTとI2Cコネクタを搭載
2) 100種類以上のGroveセンサモジュールと接続が可能
3) 4×2のピンソケットでStrawberry–Linuxの各種センサーに接続が可能
4) オンボードマイコン(PIC16F15344)によりスタンドアロンで駆動

(※1) LPWAとは、Low Power Wide Areaの略で、低消費電力で遠距離通信を実現する通信方式。「アンライセンス方式」と「ライセンス方式」とに分かれる。ライセンス方式の LPWA は従来の携帯キャリアのように総務省から包括免許を取得して事業を運用する必要があるが、無線局免許が不要なアンライセンス方式の LPWA は、個人や企業レベルで運用を行うことが可能。
(※2) ZETAアライアンスとは、ZETAの活用推進と普及促進を図るために設立されたアライアンスで、事例共有、規格の改良改善に関する活動、ワーキンググループ主導による実証実験や社会実装に向けた活動などが行われているとのこと。
URL(ZETAアライアンス): https://zeta-alliance.org/