LoRaWANネットワークの概要と利用事例紹介(1)

(株)エイビット 開発部
古川勇一郎

LoRaWANネットワークの概要

LoRaWANはIoT(Internet of Things、モノのインターネット)で用いられるLPWA(Low Power Wide Area)の通信規格の一つである。
日本においてLPWAには「ライセンス系」と「アンライセンス系」があり、LoRaWANは920MHz帯(サブギガ)のアンライセンスバンドを使用する「アンライセンス系」であり、免許が不要で誰でも使用することが可能である。
LoRaWANでは、デバイスが直接インターネットを介してLoRaWANネットワークサーバに接続するのではなく、基地局(LoRaゲートウェイ)を介して接続される。また、現時点ではデバイス間の通信(マルチホップ)は想定されておらず、スター型の構成となる。

LoRaWANネットワーク構成図

データレートは低く0.3~50kbpsであり、伝送距離とデータレートはトレードオフの関係にある。SF(Spreading Factor:拡散率)というパラメータがありこれを10とした場合、伝送距離は延びるが使用できるデータサイズ(ペイロード)は11byteとなる。また、この時の最小送信間隔は4.4秒となる。
電波の伝搬距離は最大で10㎞程だが、実際に通信ができるかはデバイスやゲートウェイの設置環境や電波状況によって大きく異なる。また、低消費電力についても同様の事が言え、通信で用いられる電力は比較的小さいが、電池で数年の運用を行うには総合的に消費電力を抑える必要がある。

次週に続く-

【著者略歴】

1996年 3月 日本電子専門学校電子音響工学科卒業
1996年 4月 株式会社東洋リンクス入社 マイコン関連開発業務に従事
2009年 1月 株式会社エイビット(技術部)入社
2017年 5月 総務省実証事業「八王子防災プロジェクト」に従事