<製品名>
ポリテックスキャニング振動計PSV
レーザドップラ振動計とは、振動速度を検出する測定原理からその測定周波数レンジはDCからMHz、GHz帯域までと非常に幅が広い。つまり超音波領域という非常に高い周波数帯域においてもその測定精度を保つことができる。また、数µmサイズのレーザ照射ポイントが測定点となるため、高い空間分解能を実現できる。このことから、超音波のモード解析に必要な計測分解能を確保できる。以上より、ポリテックは超音波領域の測定に有用なソリューションも多く開発してきた。
ポリテックのレーザドップラ振動計の最大の特長は高い光感度である。一般的にレーザ照射時に角度がつくと、レーザ計測器の計測精度は落ちるが、ポリテックのレーザドップラ振動計は、レーザを斜めに照射する測定環境に強い。この特長を生かし生まれたのがポリテックスキャニング振動計(Polytec Scanning Vibrometer、以下PSV)である。PSVはレーザを測定面上で走査させ、振動を面で捉えるばかりか、振動速度分布をカラーマッピングし可視化することができる(写真1)。
本稿では超音波非破壊検査シーンで活躍するPSVの可視化技術について紹介する。
超音波探傷検査におけるPSVの有用性
材料の軽量化に伴い開発された炭素繊維強化複合材料(carbon fiber reinforced composite、CFC)のような新規材料は、航空宇宙や自動車産業において近年多く利用されている。このような複合構造材料の欠陥検出は、安全上の理由から近年非常に重要視されている。
複合構造材料の欠陥検出の手法として多く使われているのが超音波検査である。材料表面に超音波を伝搬させ、その伝搬の様子を観察することにより、材料のマイクロクラックや多孔度の影響、亀裂、層間剥離、接着性の欠陥などを検出する。
超音波の伝搬をPSVで測定すると、波を可視化でき、かつ欠陥部分の波動場の変化を目で確認することができるため、欠陥位置特定が非常に行いやすい。第1図は構造欠陥を有する材料の超音波探傷試験時のPSV測定結果である。構造欠陥位置が可視化できている。
超音波には主に縦波と横波、そしてラム波のような表面波がある。第2図は、打痕を有する金属の超音波探傷試験時のPSV測定結果*1である。
PSVは3D振動も計測可能である。さらに3D振動成分をX,Y,Zに分解して画像表示できる。この機能により、欠陥位置をより明確に特定できる。
写真2は、韓国科学技術院(KAIST)の研究グループ*2が開発したレーザ超音波スキャニングシステムである。
3つの異なるスキャニング方式を採用している(第3図)。
第3図 3つの異なるスキャニング方式
以下にこのレーザ超音波スキャニングシステムの計測結果を紹介する。
まずボーイング社の積層複合パネル(写真3)の層間剥離検出結果である(第4図)。剥離部付近の波動場に明らかな違いが現れているのが明確に目で確認できる。
参考文献
*1 Mirko Nikolaj Neumann, Rolf Lammeringらの計測 (Helmut Schmidt University – University of the Federal Armed Forces Hamburg, D-22043 Hamburg, Germany)
*2 Hoon Sohn (KAIST, Dept of Civil and Environmental Engineering, Daejeon, South Korea)
問合せ先
ポリテックジャパン株式会社
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E-mail: info.jp@polytec.com
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