食品物性評価装置「テクスチャーアナライザ EZ-SX」

株式会社島津製作所

食感の定量的な数値化を実現

サクサク感、もちもち感、噛みごたえなど人が食べ物を食べたときに感じることができる食感は、味やにおいとともに食品のおいしさに影響を与える重要な要素の一つである。食感は官能試験によって評価されることが多いが、官能試験の場合、人の感覚の個人差や体調などにより再現性の難しさが伴う。
官能試験をサポートするのに必要な、食感を定量的な数値として測定することができるテクスチャーアナライザEZ-SXについて紹介する。
コンパクトなボディに操作性を重視したデザインを取り入れた食品物性評価装置「テクスチャーアナライザ EZ-SX」の外観を図1に示す。

図1

本装置の特長としては、
(1)高精度な試験システム
定格容量の1/500~1/1の広範囲において、指示値の±0.5%(高精度タイプ)の精度を保証した高精度ロードセルを採用。広範囲で信頼性の高い試験評価をサポートできる。
(2)ローテーブルデザイン
サンプル交換、治具交換といったあらゆる操作が楽になる。
(3)アジャスタブルコントローラの採用
使う人の姿勢に合わせた、ストレスの少ないオペレーションが可能である。
(4)試験速度
0.001~1000mm/minの幅広い試験速度で様々な評価に対応できる。
(5)環境への配慮
従来機と比べ、55%以上の消費電力のダウンを実現した。
(6)専用ソフトウェアによる試験の効率化
食品の破断測定、レオロジー測定、テクスチャー測定などあらゆる食品試験に対応した最適なソフトウェアであり、定形的な試験から任意の制御パターンを作成しオリジナルの試験法を構築することも可能である。また、かたさ、凝集性、付着性などの食品に特化したデータ処理が解析できる。TrapeziumXテクスチャーの設定画面を図2に示す。

図2

食品を食べた時に感じる食感は、食品の破断や咀嚼といった力学的性質と密接に関係がある。ここでは、破断特性とテクスチャー特性(2バイト法)の測定方法について述べる。
破断特性の測定は図3に示す試験力-変位曲線(または応力ーひずみ曲線)から表1に示す特性値を得ることができる。

図3

破断応力 破断点における応力(P)
破断エネルギー 破断に至るまでの仕事量として、応力-ひずみ曲線が破断点までに描く面積(A)
破断ひずみ 破断応力時のひずみ(ε)
初期弾性率 応力ーひずみ曲線の直線性が成り立つ範囲内における立ち上がりの傾きから算出

表1

テクスチャーを評価する方法の中でも模擬的手法と呼ばれ人の咀嚼と相関があると言われている2バイト法について説明する。食品をベースプレート上に置き、上部に取り付けられたプレートを等速直線運動により二回圧縮・引張を繰り返す。図4に試験のイメージを示す。得られた試験力-時間曲線から各種パラメータを求めることができる。図5および表2に一般的なテクスチャー曲線と各種パラメータの関係を示す。

図4
図5
パラメータ 内容
硬さ(H) プランジャーで食物に負荷を加えて,その最大試験カ(N)を言う
付着性(A3) 食品を手で触れたり,食して歯・舌・口腔に付着して、引き離そうとするカ(N)
凝集性(A2/A1) 食品に負荷を加えると,その食物は変形したり破損する。負荷を連続2回加えて,1回目と2回目の負荷面積(工ネルギー)の比
もろさ(B) 食物が口の中で壊れるカ(N)
弾力性(T2/T1) プランジャーで食物に連続2回の負荷を加え,その「くぼみ,変位」の比
ガム性( H×A2/A1) 半固形食品を飲み込める状態に砕く際の特性(N)
硬さ×凝集牲
そしゃく性
(H×A2/A1×T2/T1)
固形食品を飲み込める状態にそしゃくする際の特性(N)
硬さ×凝集性×弾力性

表2

食品のテクスチャーは味やにおいとともに、おいしさを決める重要な要素の一つである。ところが、食品のテクスチャーを測定する場合、均質でないことが多く、測定値にバラツキが生じる。そこで、試験対象となる食材に応じて試験方法や適した治具を新たに開発することにより正確な食感評価が可能となった。
これらの試験方法や試験治具を本装置と組み合わせることにより、テクスチャーアナライザは今後も様々な食品分野で適用することが可能である。測定を希望する場合は下記までお問い合わせいただきたい。



問合せ先
株式会社 島津製作所
〒604-8511
京都市中京区西ノ京桑原町1
https://www.an.shimadzu.co.jp/index.htm