三陽電工「サンサーモ」、再生可能エネルギー技術開発を高度化する機器として採用

特殊電線・ケーブルの製造販売の三陽電工(株)は、電池製造全般のコンサルティングを行う飯豊電池研究所と共に、環境エネルギー、克雪、資源開発、地質・防災調査コンサルタントと幅広い事業を行う日本地下水開発(株)へ、多点温度センサ「サンサーモ」を納入した。
「サンサーモ」を活用することで従来の計測ポイント数を10倍以上にすることができるため、再生可能エネルギーである地中熱の利用技術高度化を促進が期待されているという。


■本件の背景
地中熱は、再生可能エネルギーのひとつで、「天候や地域に左右されない安定性」「大気中へ排熱しない」「CO2排出量を削減できる」などの利点を持ち、ヒートアイランド現象の緩和や地球温暖化対策への効果が期待されている。地中の温度は年間を通じて一定のため、温度差をエネルギーとすることで、夏の冷房、冬の暖房を効率的に行うことが可能となるため、一般家庭用から、公共施設など、地域、規模問わず導入できるという幅広い適用範囲も持っている。
地中熱利用は深さ10~100mの井戸やボアホールを設けることで地中からエネルギーを取り出すが、取り出すエネルギー量は井戸やボアホールの深さ・数に比例する一方で、井戸やボアホールの深さ・数は、地中熱利用システムの導入コストにも比例する。

■サンサーモ導入による期待効果と実証実験について
地中熱利用に伴う計測では、現在は温度測定は数ポイントが主流だが、多深度における温度データを同時取得可能な「サンサーモ」であれば、従来の10倍以上の最大40ポイントの計測が可能であるため、調査対象である井戸やボアホールの全体的な温度分布を容易に観測し続ける事ができる。
これにより、精度の高い最適なシステム設計を行うことが可能となり、導入コストの低減や今後の地中熱利用システムの普及拡大が期待できる。
現在、日本地下水開発(株)の敷地内において、「サンサーモ」を使用し数か月に及ぶ長期データ計測を開始しているとのこと。

■今後の展望
土木・建築工事に関連した地下水流の挙動調査にも活用の可能性が見えてきた。
日本地下水開発(株)はこの分野を得意事業の一つとしているが、「サンサーモ」による温度分布把握により、地下水流の活発な深度を特定、更には高密度な測定温度をシミュレーションへのインプット情報の一つとして用いる事で、精度の高い地下水の移流や温度推定が可能になることが期待されるという。

■多点温度センサ「サンサーモ」概要
「サンサーモ」は、最長300mまで伸ばせるケーブル形状としながら直径は約5mm、1本あたり最大40ポイントの測定箇所を自由に設定できる多点温度センサ。

グリーンランド氷河における長期温度観測、スーパーコンピューター設置データセンター内の空間温度監視、農業(植物工場、ビニルハウス)、水産業(学術調査、養殖)、工業(モーター駆動部)、物流業(倉庫、冷蔵トラック)と様々な用途での活用シーンが増えている。

柔軟性、多点同時計測、軽量コンパクト、防水性などの特徴を実現する為の構造は、電線製造における編組技術などを基に考案され、日本(特許第6185684)をはじめ、米国(US10,672,536)、中国(CN109196604)、韓国(第10-2171330号)と、各国での特許も取得。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000087649.html