3万円のWi-Fi振動センサ「コナンエアー」で ベアリングの診断が実現

中山水熱工業(株)は、Wi-Fi振動センサ「コナンエアー」で、振動の3軸合成波形による周波数分析を行った結果、軸受の異常診断を実現した。

Wi-Fi振動センサ「コナンエアー」の主な利用目的は、人の健康診断で医師が聴診するように、機械や設備のヘルスチェックを行うことである。これまでは主に簡易的な異常検知目的で使われていて、精密診断には高性能で高価な振動センサが必要だった。
今回の新しいデータ分析技術で、軸受精密診断のほとんどが3万円(税別)のコナンエアーでカバー出来るという。
コナンエアーのすべてのモデルにソフトウェアアップデートでこの技術が使えるようになり、ユーザには無償アップデートの提供を開始している。

※「コナンエアー」は、メンテナンス機器に関する新技術の開発を奨励する日本プラントメンテナンス協会2020年度TPM優秀商品賞を受賞した。

【3軸合成の振動波形によるFFT】
振動波形の包絡線(エンベロープ)にFFT(高速フーリエ変換)による周波数分析を行って、ベアリングの損傷に特徴的な振動を検知する精密診断は従来から行われており、それには数kHz~10kHz以上の高い周波数帯域の振動計測が必要とされていて高価な振動センサが必要だった。
今回、コナンエアーでは1kHz程度までの低い周波数帯域だが、3軸方向の振動データが同時計測・データ保存できることを利用して、これまでの高性能振動センサによる精密診断と同等のことが出来ることを確認した。
さらに、3軸の振動波形それぞれのエンベロープ波形を合成してからFFTによる周波数分析を行うことで、より感度が高くノイズの少ない検知が可能になった。

【簡単な操作】
コナンエアーの操作はブラウザによるので専用のアプリケーションは不要。
今回のアップデートでは、新しいタグでFFT(高速フーリエ変換)による周波数分析が行える。測定したデータをその場ですぐに周波数分析でき、過去に測定したデータファイルからも、簡単にドラッグ&ドロップで分析できる。誰でも簡単に高度な周波数分析ができるようになった。

【コナンエアーの主な仕様】
・振動センサ      :デジタル加速度センサ ADXL345 (ANALOG DEVICES社製)
・測定レンジ      :3軸 各±16g
・応答周波数      :0~1,000Hz (-3dB)
・データサンプリング周期:3,200Hz
・サイズ        :W65×D52×H32 [mm]
・重量         :77g

【今後の展開】
多数のコナンエアーが主に簡易診断目的で運用されているので、精密診断の適用を広げてユーザの役に立つ改善を続ける。また、これまで精密診断が難しい領域と言われる低速回転の軸受診断でも有効性を確認していく。
外部試験機関によるCEマーキングおよびFCCの適合証明を得られたので海外向けの販売を開始するとしている。

ニュースリリースサイト:https://www.atpress.ne.jp/news/281164