有明高専、マッチングラボ第2号「センシングモジュール統合設計ラボ」をスタート

有明工業高等専門学校は、地域共同テクノセンターの新しい産学連携の仕組みとして「マッチングラボ」制度を創設した。高専内に専用の研究室を設けて、企業名およびラボ名を学内に掲示し、2年間の継続した研究を行うもの。マッチングラボは、教員・学生グループと企業のエンジニアが連携して研究を推進し、研究だけでなく人材育成を目的とした新しい共同研究システムで、企業においては高専施設を利用した共同研究に加え、高専関係者おおび学生へのPRの場になるという。

此度、マッチングラボ第2号として「センシングモジュール統合設計ラボ」を設立した。本ラボにおいては、幅広い知識を持って統合設計を行うエンジニアを育成することを目的としているとのこと。

■センシングモジュール統合設計ラボ実施概要
名称:センシングモジュール統合設計ラボ
研究期間:2021年5月1日~2023年4月30日
設置場所:有明工業高等専門学校
連携企業:佐賀エレクトロニックス株式会社
概要:有明高専では、静電気対策のためのセンサモジュールを佐賀エレクトロニックスと共同で開発し、その過程で統合設計を視野に入れた人材育成システムの実現を目指す。

■研究背景
現在、電気・電子製造業界では、機構設計は機械系の人材、電気回路設計は電気系の人材、ソフトウェアの設計は情報系の人材と職種毎に専門化が進んでいる。その効果を最大限に引き出すためには機械、電気、情報など多分野の知識を統合的に活用できる技術者が必要である。そのため、IoT化に用いられるセンサモジュールの開発を題材に、機構設計、電気回路設計、ソフトウェアを統合的に設計できる人材の育成を目指し、佐賀エレクトロニックスと有明高専で「センシングモジュール統合設計ラボ」を立ち上げた。最近では様々な分野の技術を複合して開発することが増えてきており,複合分野の知識を持つ人材育成が日本の技術力向上のためにも重要な課題であると考えている。

■実施内容
・佐賀エレクトロニックスが持つ静電気測定のノウハウを活用し、商品化を視野に入れた表面電位センサを開発する。
・学生がセンシングモジュールを題材として回路設計やプログラミングだけでなく、センシングに必要な部品の機械加工まで行う。
・有明高専では本科1、2年生のときに他コースの専門知識を学ぶ機会がある。本研究ではそれらの知識を応用してセンシングモジュール統合設計を行い、複合分野の知識を持つ人材育成を目指す。
・工場のIoT化に伴い、機械・電気・情報など他分野の知識を統合的に活用できる技術者が必要となってきている。センシングモジュール統合設計をきっかけに、複合分野での統合設計の能力を持つ人材を育成する教育システムの構築を目指す。

■今後のマッチングラボ
 今年からスタートしたマッチングラボだが、既に3件の研究がスタートし、今年中に合計5件の研究がスタートする予定。企業においては高専の施設を利用した共同研究と学生へのPR、有明高専においては企業とのコラボレーションによる実践的教育ができるメリットがある。多くの企業人が興味を持っており、今後もマッチングラボを拡大し、新しい共同研究・人材育成を目指すとしている。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000075419.html