三菱重工、自律化・知能化ソリューション「ΣSynX(シグマシンクス)」を公開

三菱重工業(株)は、、三菱重工グループの三菱ロジスネクスト(株)が、本日から4月30日まで開設する特設オンラインサイト「Logisnextエキスポ in オンラインショールーム(注1)」において、三菱重工が掲げる、物流機器の自律化・知能化ソリューションコンセプト「ΣSynX(シグマシンクス)」を公開する。

ΣSynXは、「予測計画」「遠隔制御」「人機協調」「システムプラットフォーム」「検証評価」「遠隔保守」といったコア技術から構成されている。物流機器への適用例として、「予測計画」については複数のAGF(Automated Guided Forklift:自動運転フォークリフト)やAGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)を効率的に差配する群制御(注2)などの行動計画技術、「人機協調」については人や物を検知し回避する技術や人と機械がコミュニケーションを取るための非言語ヒューマンインターフェース技術などが挙げられる。
ΣSynXのコア技術は、それぞれ個別のパッケージ群「SynX-Suite」としてモジュール展開を計画しており、これらの技術パッケージを“Powered by ΣSynX”としてさまざまな物流機器に適用することで、物流現場にフレキシブルに調和できる高い生産性・安全性を備えた物流ソリューションとして提供することが可能となるものだという。

このうち、ΣSynXを適用したAGFである新コンセプト機「SynX-Vehicle」は、三菱ロジスネクストのフォークリフトをベース車両とし、倉庫保管量と荷さばき量の最大化を狙い、車体をパレット幅まで小型化することで棚間通路を最小化できるとともに、車両の安定性向上や新たな旋回方法を備えることで高速化を実現した。さらに、AGFのパネル面にて表情・感情を表現し、交差点で道を譲るなど周囲の作業者とコミュニケーションを取ることで、倉庫全体の生産性や安全性の向上を図ることもできるとのこと。

三菱重工と三菱ロジスネクストは、ΣSynXコンセプトに基づくAGFを共同で開発している。これらの研究開発は、2019年に兵庫県高砂市の総合研究所内に新設した物流実験センターで行われており、同センターは、顧客ニーズを正確に捉えられるよう、課題解決策を現場・現物で検討できる30m四方の倉庫エリアを有している。新AGFコンセプト機は、これまで同センターに来訪した顧客の要望から生まれたアイデアが反映されたものという。

今後、新AGFコンセプト機で検証される群制御・人との協調・遠隔監視などといった技術は、順次、三菱ロジスネクストのレーザーAGF(注3)に適用されていく予定。三菱重工グループは引き続き総合力を結集・駆使し、アジャイル開発により、開発途中の仕様変更などにも柔軟に対応しつつ、利用者の課題解決に直結するソリューションをタイムリーに提供していくとしている。

注1:三菱ロジスネクストのオンラインイベント「Logisnextエキスポ in オンラインショールーム」は入場招待制。
注2:群制御とは、複数の自律移動体が連携して動作することにより与えられた業務を最短で処理することを指す。
注3:レーザーAGF(レーザー誘導方式無人フォークリフト)とは、レーザースキャナーで反射板をスキャンし、車両の現在地を認識しながら走行するAGF。

ニュースリリースサイト(MHI):https://www.mhi.com/jp/news/21030901.html