日立がMEMS加速度センサーを開発、地盤や構造物の微小振動を、高感度かつ低消費電力で検出。

日立製作所はMEMS技術と回路技術を融合することで、地盤や構造物の微小振動を、高感度かつ低消費電力で検出できるMEMS加速度センサーを開発した。
資源探査や社会インフラのメンテナンスにおけるデジタルセンシングのキーデバイスとして社会の安心・安全に貢献する。

図1 試作したMEMS加速度センサーを構成する、制御IC、検出IC、MEMS素子(左)と、MEMS素子の錘(右)

今回開発した技術の特長は以下の通り。

1)複数の貫通孔を設けた独自の錘(おもり)構造により低ノイズ化を実現するMEMS技術

MEMS加速度センサーは、弱いばねで保持された可動する錘と、錘の動きを検出して制御する回路で構成されている。振動(加速度)が加わることで生じた錘の動きの変化を電荷として検出し、錘を静止状態になるように制御する。このとき、錘が動く際に表面に当たる空気がノイズとなり、高感度化の妨げとなっていた。そこで、流体解析を行い、SOI基板で構成された錘全面に入口と出口で径の異なる貫通孔を形成して、空気を逃がすことで空気抵抗を約半分に低減した。

図2 開発したMEMS素子の構造

2)錘の動きの制御と検出を並行動作させる独自方式により低電力化を実現する回路技術

従来のMEMS加速度センサーでは、同じ電極を用いて錘の動きの制御と検出を行い、それらを交互に切替える方式が用いられている。制御できない時間帯を補うために、制御に必要な力を発生させる際には高電圧が必要となり、消費電力が高くなっていた。本センサーでは、制御用と検出用の電極を独立して配置することで、常に制御と検出を行うことが可能となり、制御時の出力電圧を約60%に低減した。

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http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2018/01/0122.html