ウイルスや細菌の亜種を識別できるアイポア微粒子分析ソリューションを発売

アイポア(株)は2020年10月23日、ウイルスや細菌といった生体微粒子を高精度で識別できる、理化学研究用のアイポア微粒子分析ソリューションを発売した。アイポア微粒子分析ソリューションは、最新のナノポア計測技術と人工知能(AI)の融合によって生まれた、全く新しい微粒子分析手段だとのこと。

アイポア微粒子分析ソリューションによって、従来は遺伝子増幅、質量分析、光学計測、抗原抗体反応等による同定を必要としたウイルスや細菌などの生体粒子の識別を、これらの技術に比べて短時間かつ高精度で実現できるようになった。また、ウイルスや細菌に限らず、50nmから8μm程度の大きさの様々な微粒子の分析が可能という。

アイポア微粒子分析ソリューションを利用した成果として、2020年10月23日には、大阪大学産業科学研究所谷口正輝教授、大阪大学大学院医学系研究科・医学部の朝野和典教授および大阪大学微生物研究所松浦善治教授らのグループとアイポアが共同で実施した、コロナウイルス識別の研究が発表された。
この研究では培養検体を用いて、新型コロナウイルスを含むコロナ亜種4種(SARS-CoV-2、229E、SARS、MERS)の高精度識別に成功した。さらに同研究では、新型コロナPCR陽性/陰性の唾液臨床検体44例(PCR陽性20検体、陰性24検体)について、前処理2分+計測時間5分でPCRとの陽性一致率95%、陰性一致率92%という高い識別性能を実証した。また、このPCR陽性検体20検体のうち4検体について、1μLあたりRNAコピー数10以下の低ウイルス濃度であったにもかかわらず、アイポア微粒子分析ソリューションはこれら4検体すべてを正しく陽性と識別しており、高感度であることが示されたと伝えている。

これらの研究は、AMED 国立研究開発法人日本医療研究開発機構による「AMED令和2年度ウイルス等感染症対策技術開発事業(実証・改良研究)」の、補助事業名「ナノポア技術と機械学習を用いた新型コロナウイルス検査法に関する研究」で支援を受けている。

このような研究成果は、既存の新型コロナウイルスの迅速検査よりも高い性能の検査手段の実現を示唆するもので、目下の最大の社会問題の解決に寄与する可能性があるという。

この他にも、アイポア微粒子分析ソリューションによって、ウイルスやエクソソームから細菌、血球類、さらには各種工業用微粒子など、幅広い応用範囲で、これまで不可能だったナノ〜マイクロサイズの粒子の分析ができるようになり、様々な分野での理化学研究の進歩への寄与が期待されるとしている。

アイポア微粒子分析ソリューションは、アイポアセンサモジュール〔NOK(株)製および(株)朝日ラバー製〕、微粒子計測装置〔(株)アドバンテスト製〕、 AIソフトウェアAipore-One™〔アイポア(株)開発/運営〕から成る。これらはすべて、アイポア株式会社が販売する。

※なお、アイポア微粒子分析ソリューションは、理化学研究用微粒子分析を目的とした製品であり、医療機器ではない。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000067529.html