光センサーの基礎と今後の応用展開(2)

NPO日本フォトニクス協議会理事 公益社団法人応用物理学会微小光学研究会事務局長
小椋行夫

3 光センサーの分類

光センサーには内部光電効果を利用したものと外部光電効果を利用したものがある。内部光電効果を利用した素子は光伝導効果と光起電力効果を利用した検出器が主流であり、その多くは半導体を用いている。この内部光電効果を利用した光センサーには光伝導型と光起電型に分類される。光導電型の素子としては真性半導体と不純物光伝導セルがある。
光起電型の大部分はPN接合を用いておりSiあるいはGeを母体としており、Siセル、Geセルと呼ばれ広く利用されている。波長帯域も可視光から近赤外線まであるため用途が広い。光起電型に逆バイアス電圧を加えて電流を取り出す形で用いると極めて優れた測定特性を示すようになる。
主流となっている半導体による光センサーはフォトダイオード(Photodiode)と呼ばれ、従来使われていた光電子倍増管に替わるフォトセンサーとして使われるようになった。フォトトランジスタと呼ばれる光センサーもフォトダイオードと同じ検出方法であるが、電流をトランジスタで増幅しておりフォトダイオードよりは応答時間が遅い。
一方外部光電効果を利用した素子には光電子増倍管(PMT、フォトマル)と光電管がある。フォトマルは光により光電陰極から飛び出した電子を、ダイノードで増幅させる。放電管は光により光電陰極から電子が飛び出す。これはフォトレジスタに似た挙動を示す。
イメージセンサーとして使われるCCD(Charge-Coupled Device:電荷結合素子)も光起電力型の光検出器である。3)
以下に光センサーの分類表を記す。

3-1 原理による光センサーの分類

光センサーを原理で分類すると表1のようになる。

表1 光センサーの分類1(原理による分類)
原理 タイプ 素子、材料 主な波長域
内部光電効果 光電導効果 真性光電導セル Cdsセル 可視光領域
PbS、InSbセル 近赤外領域
HgCdTeセル 中赤外領域
不純物光伝導セル Ge母体、不純物Au、Hg、Cu、Zn、Beなどを添加 赤外領域
冷却器が必要
光起電型
(フォトダイオード)
Siセル 可視光領域
Gsセル 紫外~赤外
CCD Si 可視光量域
外部光電効果 光電子増倍管(PMT、フォトマル) 光を当てると光電陰極から電子が飛び出し、ダイノードで増幅される。 真空紫外域から1700nm
光電管 光を当てると光電陰極から電子が飛び出し、フォトレジスタに似た挙動を示す。 紫外光~可視光

3-2 種類による光センサーの分類

多くの種類のセンサーを開発しているオムロン㈱では光センサーの種類により以下のように分類している。4)

表2 光センサーの分類2(検出方式による分類)
タイプ 検出方式 構成、特徴
透過型 投光器と受光器を対向させて設置し投光器からの光を受光器に入射させる。

検出物体が投光器と受光器の間で光をさえぎることにより受光器に入る光の量の変化を検出する。

・動作の安定度が高く、検出距離が数cm~数十mと長く動作が安定しやすい。

・検出物体の位置ずれの影響が少ない。
回帰反射型 投光器と受光器が一体形。

投光部からの光は反射板で反射し受光部に戻る。検出物体が光をさえぎると、受光部に入る光の量が減少する。

・検出距離は数cm~数m

・配線・光軸調整が容易(工数が省ける)

・検出物は2度光を遮るので透明な物体の検出に向いている。
拡散反射型 投光器、受光器一体形で検出物がない場合、光は受光部に戻らない。

検出物があると受光部に反射光が戻る。

・検出距離は数cm~数m

・設置、取り扱いが容易

・検出物体の形状(色、凹凸)で反射光量が変わるので検出安定度が変化する。
距離設定型 三角距離計測の原理を応用しており、検出物の距離により反射光の受光位置が変わる。

受光素子には2分割フォトダイオードを位置検出器として使用している。

・検出物体の表面状態、色などのの影響および背景物体の影響を受けにくい。
限定反射型 拡散反射形と同様検出物体からの反射光を受光する。

投光ビームと受光部を限定し、センサから一定の距離にある検出物体だけを検出する。

・細かな段差を検出できる。

・検出物体の色の影響を受けにくいが検出物体のツヤ、傾きの影響を受けやすい。

3-3 構成による光センサーの分類

構成で光センサーを分類すると表3のように分類できる。4)

表3. 光センサーの分類3(構成による分類)
タイプ 構成 特徴
アンプ分離型 投光部と受光部を分離したタイプで反射型と透過型がある。他の増幅部、制御部等は一体のアンプユニットとなっている。 ・投受光器は投光素子、受光素子および光学系で構成されるので小型が可能。
・投光器、受光器を別の場所に設置しても離れた場所からの調整が可能。
アンプ内蔵型 電源部以外を一体としたタイプで電源ユニットを単独に持つ。 ・受光部、増幅部および制御部が一体となっているので、信号線を引き回す必要がないのでノイズの影響を受けにくい。
・配線工数がアンプ分離形に比べて少ないが大型になる。
電源内蔵型 投光器、受光器に電源部までを含めて一体化したタイプ。 ・受光器から直接容量の大きな制御出力が可能。
・大型になる。
エリアセンサー 透過型で投光部、受光部を多光軸になっている。 ・センシング範囲が広い。
・部品ピッキング作業用に適している。

参考文献

3) フリー百科事典「光検出器」(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E6%A4%9C%E5%87%BA%E5%99%A8

4) 光電センサー技術解説 オムロン技術資料(https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/43/2/

次週に続く—