ST、機械学習コア搭載の高精度MEMS傾斜計を発表

STマイクロエレクトロニクスは、産業オートメーション機器や構造ヘルス・モニタリング(1)などに向けた高精度・低消費電力のMEMS傾斜計(2軸デジタル加速度センサ)「IIS2ICLX」を発表した。
同製品は、ユーザで設定可能な機械学習コアと、個別設定が可能な16のステート・マシンを搭載し、IoT端末の低消費電力化や、クラウドへのデータ送信量の削減に貢献するという。

先進的な機能を搭載するIIS2ICLXは、システム全体の消費電力を低減できるため、バッテリ駆動の端末でも使用することができる。また、高性能のシステムへ簡単に搭載することができ、キャリブレーションに要する作業とコストを最小限に抑えることも可能。

IIS2ICLXは、MEMS加速度センサとして±0.5 / ±1 / ±2 / ±3gの選択可能な検出範囲を備え、I2CおよびSPIデジタル・インタフェースで出力する。補正機能を内蔵し、動作温度範囲内で0.075mg/°C以下の安定性を維持できるため、周囲温度の急激な変動に対しても高い精度と再現性を提供する。また、15μg/√Hzという超低ノイズ密度により、高分解能の傾き検知や低レベル・低周波数の振動測定など、構造ヘルス・モニタリングに必要なセンシングを実現するとのこと。

高い安定性と再現性、精度、分解能を備えたIIS2ICLXは、アンテナの方向制御およびモニタリング、構造物の土台のレベリング、フォークリストや建設機械、水準測量機、機器の設置およびモニタリング、太陽電池パネルの設置と太陽追尾といった産業用アプリケーションのほか、ロボットや無人搬送車(AGV)などのIndustry 4.0アプリケーションに最適である。

構造ヘルス・モニタリングでは、傾斜と振動をIIS2ICLXで正確に測定することで、高層タワーや橋、トンネルといった構造物の健全性を診断することができる。バッテリ駆動の傾斜計として同製品を採用することで、従来よりも低コストでより多くの構造物をモニタすることが可能。

高精度傾斜計の多くが1軸の製品であるのに対し、IIS2ICLXは2軸の加速度センサ。そのため、水平面に対して2軸の傾斜(ピッチ / ロール)を検出できるほか、2軸を組み合わせた高い精度、再現性、および分解能により水平面の一方向の傾斜を±180°の範囲で測定することができる。デジタル出力により外付けのA/Dコンバータやフィルタが不要になるため、システム設計の簡略化と部材コストの削減も可能。

さらに、センサのキャリブレーションや傾斜角のリアルタイム計算処理に対応したSTのソフトウェア・ライブラリを利用することで、IIS2ICLXの導入を簡略化するとともに、アプリケーション開発の期間を短縮することができる。これらのソフトウェア・ライブラリは、STM32Cubeマイコン開発エコシステムの拡張ソフトウェア・パッケージ「X-CUBE-MEMS1」の一部として提供されている。

IIS2ICLXは、セラミック筐体の高性能LGAパッケージ(5 x 5 x 1.7mm)で提供、動作温度範囲は-40°C~+105°C。同製品は現在量産中(サンプル提供も可能)で、STのウェブサイトから入手する場合の単価は約15.00ドルとのこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001080.000001337.html