国は、データは智恵・価値・ 競争力の源泉であるとともに、課題先進国である日本の社会課題を解決する切り札と位置付け、我が国初となる「データ戦略」(2020年12月データ戦略タスクフォース第一次とりまとめ)及びその具体的な取組の方向性となる「包括的データ戦略」2)(2021年6月)を策定した。
Society 5.0 の実現をビジョンに定め、その実現に向けた基本的行動指針として、①データがつながり、いつでも使える、②データを勝手に使われない、安心して使える、③新たな価値の創出のためみんなで協力するよう推進していく というデータ活用の原則が示されている。
【データ活用原則】
① データがつながり、いつでも使える
・つながる(相互運用性・重複排除・効率性向上)
・いつでもどこでもすぐに使える(可用性・迅速性・広域性)
② データを勝手に使われない、安心して使える
・自分で決められる、勝手に使われない(コントローラビリティ・プライバシーの確保)
・ 安心して使える(セキュリティ・真正性・信頼)
③ 新たな価値の創出のためみんなで協力する
・みんなで創る(共創・新たな価値の創出・プラットフォームの原則)
IoT(Internet of things)という単語が使われるようになって、既に10年以上の時間が経つ。今年2024年に新たに出現したキーワードは「D2D(Direct to Device)」だ。このキーワードだけでは何と何が「ダイレクト」なのかがわからないだろう。実は「D2D」は「衛星と地上のデバイス」という意味だ。
IMETSは、シミュレーション技術を利用することで、①実海面投入前の水中無人機の十分な技術実証、②技術実証に必要な実海面試験回数の低減、③亡失をはじめとする実海面試験に伴うリスク低減を実現するために整備した試験評価施設である。
試験評価のための主要な装置として、シミュレーション装置である「HILS(Hardware In the Loop Simulation)システム」と大型水槽である「水中音響計測装置」を有しており、これらの装置を用いて仮想的な海洋環境を構築することで水中無人機のシミュレーション試験を実施している。
シミュレーション試験では、HILSシステム上の仮想空間に多種多様な海洋環境を作り出し、水中無人機の機能・性能をソフトウェアでモデル化したバーチャルの水中無人機(デジタルモデル)を仮想空間内の海洋を航走させることでシミュレーションを行う「マスマティカルシミュレーション」はもちろんのこと、HILSシステムに試験評価の対象となる水中無人機実機を接続することでデジタルモデルと実機を連携させ、実機があたかも仮想空間内の海洋を航走している状態を作り出しシミュレーションを行う「フィジカルシミュレーション」の2つの方式で試験評価等を行うことができる。
また、水中では音によって周囲の状況を認識することから音響センサの重要性は極めて高いことから、「フィジカルシミュレーション」では、仮想空間の海洋でデジタルモデルの音響センサに入力されるバーチャルの音響信号を大型水槽内に本物の音として再現させ、実機の音響センサがその音を聴いて周囲の状況を認識し行動判断を行うというシミュレーション試験も実施することが可能である。この機能を音響模擬機能と呼んでいるが、これはIMETSにしかない特殊な機能である。(図2)
シミュレーション機能: シミュレーションを実施する海域の海底地形、水温、塩分濃度、潮流等を設定し、これらの海洋環境データを基に仮想の海洋環境をHILSシステム上に作り出している。海洋環境データは一般的に使われているnetCDF(Network Common Data Format)6) 形式で扱っており、外部からのデータを容易に取り込むことも可能となっている。
また、シミュレーション開始から終了までの水中無人機他の行動を規定するための行動シナリオやミッションシナリオを自由に設定でき、更には水中無人機の搭載機器等の故障等のタイミングや発生内容を設定できる。
シミュレーション実行中においては、水中無人機の航行状況を3D画面で表示することでシミュレーションの状況を可視的に表示することができるとともに、搭載機器の取得データなどの情報をリアルタイムで確認することができる。
シミュレーションを行える最大時間は30日間と長時間であるため、シミュレーションを行う前にその時間見積もりを確認できる機能や途中でシミュレーションを中断した場合でもつづきからシミュレーションを再開できる機能を有している。
◆「化学物質リアルタイムモニタ」の仕様
製品名:化学物質リアルタイムモニタ
型式名:XP-3320II-V
サイズ:W91xH164×D44mm(突起部を除く)
質量:約460g(電池含む)
電源:単3形アルカリ乾電池4本または単3形ニッケル水素充電池4本
防爆構造:アルカリ乾電池仕様 Ex ia da IIC T4 Ga、ニッケル水素充電池仕様 Ex ia da IIC T3 Ga
本件のポイント
・乾燥種子の胚乳(注2)においてオートファジーが働き酸化ストレスが抑制され、胚乳細胞の品質が維持されることが、種子が長期間に渡り発芽能力を保つうえで重要であることを明らかにした。
・本知見は、種子の保存可能期間を延長するための新規技術の開発に貢献できる可能性を秘めている。
・本研究成果は、米国科学アカデミーが発行する「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)」に掲載された。
概要
明治大学 農学部 生命科学科の吉本光希教授、同 川上直人教授、明治大学 研究・知財戦略機構 篠崎大樹博士研究員、高山恵莉菜(農学研究科博士前期課程 修了生)は、乾燥種子が長期間に渡り発芽能力を維持するために、オートファジーが重要な役割を果たしていることを報告した。
種子は、いわば「鎧」の役割を持つ種皮で覆われ、胚を物理的に保護したり、抗酸化物質を蓄えたりすることで、保存期間中に受けるストレスを回避している。種皮は死細胞で構成されているが、長期間の保存の後に発芽するためには、保存期間中に継続して受け続けるストレスに適宜応答するシステムも存在する可能性が考えられた。本報告では、種皮の内側に存在し、乾燥種子の胚を取り囲む生細胞である胚乳細胞において、オートファジーが働き、酸化ストレスおよび細胞死を抑制することで、長期間の保存の後でも発芽能力が維持されることを明らかにした。
本報告は、一見静的にみられる乾燥種子においても、細胞内の膜ダイナミクスを介する分解系であるオートファジーが駆動していることを明らかにした点と、長期保存した老化種子において損傷胚乳が物理的障壁となって発芽が抑制されることを解明した点に意義がある。また、本知見は、発芽能力を保ったまま種子を長期間保存するための新規技術の開発に繋がると期待される。
本成果は、米国科学アカデミーが発行する総合科学雑誌である「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)」に掲載された。本研究の一部は、 日本学術振興会 科学研究費 新学術領域研究 (研究領域提案型) (19H05713) および 特別研究員奨励費 (21J11995) の支援を受けて行われた。