~防災・減災から平時の農業用水管理まで~『ため池防災システム』を開発

応用地質(株)は低価格・双方向通信型ハザードマッピングセンサを用いた、自治体・土地改良区向け『ため池防災システム』の提供を開始したと発表した。
(画像:ハザードマッピングシステムの管理画面イメージ)

■サービス提供の背景
灌漑を目的に築造された「ため池」は、西日本を中心に全国に約17万箇所存在していると言われているが、農業用水の確保だけでなく、洪水調整や親水空間の創出、多様な生物の生育の場など、様々な機能を有している。
しかしながら、近年は農業従事者の高齢化や減少、権利者の世代交代による管理体制の弱体化などから、設備や堤体が老朽化し、災害時における決壊などのリスクが高まっており、農林水産省の調べによると、直近10年間におけるため池の被害の70%が豪雨によるものであり、平成30年7月豪雨においても各地で決壊が発生し、多くの被害をもたらした。
このような状況を受けて、国は、決壊した場合の浸水区域に家屋や公共施設等が存在し、人的被害を与えるおそれのある全国63,722か所のため池を「重点防災ため池」として指定した。

■サービスの概要
同社は、このような社会的課題を踏まえ、得意とする防災・減災分野の知見とIoTセンシング技術を活かした、「ため池防災システム」を開発。
 本システムは、同社が開発した低価格・双方向通信型ハザードマッピングセンサや監視カメラにより、ため池の氾濫危険情報をリアルタイムで発信し、自治体の防災担当者と連携した上、下流域に住む住民の速やかな避難行動を支援する。
ハザードマッピングセンサは、冠水センサや簡易傾斜計を組み合わせ、広域なエリアに多数設置することで面的な水防情報体制を構築することを目的としたセンサ。センサ自体の費用は無料で、ユーザーには、センサ個数に応じた月々の通信費(1万円/台・月)のみ負担となる。
センサの種類および最適な設置箇所の選定については、要望によりコンサルティング。また、水位計や雨量計、温度計などと組み合わせ、災害時の備えだけでなく、平時の農業用水管理にも活用できるシステムとすることも可能とのこと。

このシステムは、激甚化する豪雨災害に対し、緊急的かつ比較的簡易な監視体制の整備を目的として開発したもの。同社では、このような比較的簡易なモニタリングシステムだけでなく、より高度な避難誘導システムの構築から、ため池の損傷による浸水被害の予測、耐震照査、ハザードマップの作成まで、ユーザーの要望により、ため池に関わる様々なサービス/システムソリューションを提供している。

ニュースリリースサイト(応用地質): https://www.oyo.co.jp/oyocms_hq/wp-content/uploads/2019/10/20191030_news-release_a_oyo.pdf