Blue Economyと日本・スコットランドの協業(3)

英国大使館・スコットランド国際開発庁
松枝 晃

2. スコットランドと日本の技術開発協力

スコットランド政府経済開発機関のScottish Enterprise(SE)とScottish Development International(SDI)は、2012年頃から、両国企業間の技術の強みを持ち寄り共同開発を通して共に市場に参入すると言う戦略発想持って活動を続けてきた。エレクトロニクス、ロボット技術、製造・品質管理技術など基礎技術に優れる日本企業と、海洋産業の現場で培った技術・経験を持つスコットランド企業は補完的な関係になり良いパートナーになり得る。この発想に賛同を頂き、次世代センサ協議会、JAPIC、エンジアリング協会、日本舶用工業会とともに協業機会を探った。またサンケイビジネスアイのご理解を頂きSensorExpoに併設する形で、Subsea Tech Japanを開催する事となった。

図8

2017年に、(公益財団法人)日本財団とSEで合計20億円の助成金を用意して、海洋開発に関して技術開発助成事業を行う事となった。同年9月にAberdeenにおいて調印式が行われた。日本企業とスコットランド企業が共同開発グループを組んで(1対1に限定されない)、その内容を審査して助成金を提供する仕組みである。その際、外部有識者委員会JAC(Joint Advisory Committee、両国から各3名)を作り提案プロジェクトへのアドバイスや評価をおこなっている。最終的に日本側企業は日本財団が、スコットランド側企業はSEから判断をしてそれぞれ助成金を付ける仕組みとなっている。ここでの採択の重要なポイントは、市場性があるかどうかと言う点にある。

第一回目の募集は、2017年末から開始した。テーマは、石油ガス生産に関するデジタル化(Digital Oil Field)とその他技術とした。https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2017/20171120-22783.html
2018年9月に最終的に以下の5つのプロジェクトを採択した。

図9

パートナーを見つける作業は各企業の努力とSE/SDIのサポートの2本立てであったが、採択に至ったすべての日本企業はAberdeen・Scotlandを訪問しており、その結果パートナーが見つかっている。
プロジェクトは、いずれも日本側がSystemでスコットランド側がその為のキーソリューションの組み合わせになっている。当初予想した日本側の強みであるエレクトロニクス、ロボット、製造・品質管理技術などが生かされた内容となっている。

次週に続く-

【著者略歴】
松枝 晃(まつえだ あきら)
英国大使館・スコットランド国際開発庁 上席投資担当官
金沢大学 工学部 電気工学科卒、
1981年オリンパス光学株式会社(当時)。研究開発部門で回路設計、新規事業開拓、オープンイノベーション等経験。
2010年スコットランド国際開発庁。センシング技術を中心に日本スコットランド間の技術案件を担当。2012年から海洋関係。北海のSubsea技術と日本の海洋関連技術のコラボレーションを促進。