ローカル5Gによるセンサネットワーク(2)

モバイルコンピューティング
推進コンソーシアム・上席顧問
/次世代センサ協議会・理事
岡崎 正一

2.電波の特性

5G活用によるIoTシステム構築においては、図1に示すような超高速、多数同時接続、超低遅延の通信サービスを使って、センサデータを効率よく収集するといったシステムを構築することができる。特に、ローカル5Gの無線環境を効果的に活用した無線ネットワーク構築のためには、無線の特性を知った上で、システムの目的に合わせてシステム構築することが必要である。無線システムでは、電波を用いて情報を伝搬させる。電波はその周波数によって電波の伝わり方が異なる。センサネットワークを効率よく動作させるためには、これらの電波特性を知っておくことが重要である。

図1 5Gの主要3特徴

図3に周波数帯ごとの主な用途と電波の特徴を示す。以下に、無線システムを構築するために必要な主な無線の特性(受信感度、通信距離、周波数特性)を示す。

(1)受信感度
・帯域幅に反比例
・通信速度にほぼ反比例

(2)通信距離
・周波数に反比例(自由空間)
・送信出力の2乗に比例/受信感度の2乗に比例

(3)周波数特性
・周波数が高いほど、直進性が強い(建物にさえぎられる)
・周波数が高いほど、ガラスや木材などの電波の透過損失が高い
・周波数が高いほど、情報伝送容量が増加傾向になる
・周波数が高いほど、アンテナの大きさは小さくなる
・周波数が低いほど、建物の陰に回り込む
・周波数が低いほど、通信距離は大きくなる
(注) 通信距離は送信出力や受信感度の大小にも影響を受ける

出典:総務省HPを元に作成
図3 周波数帯ごとの主な用途と電波の特性

次週に続く-

【著者略歴】
岡崎 正一(おかざき しょういち)
1975年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了.
同年三菱電機株式会社入社,基本ソフトウェア,ネットワークシステム,大規模応用システム開発等に従事.主な著書「UNIX-基本操作から実践活用まで-」,翻訳「PCパーフェクトガイド」等.
2012年より,MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)にて,IoTシステム技術等を推進.技術士(情報工学)、博士(情報学).