SkyManhole(IoT型遠隔水位観測システム)農業用施設向サービス開始

 (株)NJS〔エヌジェーエス〕 は、都市浸水災害への対策に有効な水位観測システム「SkyManhole®」を開発・提供している。
此度、当該技術を発展させ農業用施設への適用を開始した。これに伴い、当該技術が「農業農村整備民間技術情報データベース(NNTD)(※注)」に登録されたという。

1.背景
①豪雨災害の激化とNJSの水位観測システム
 近年、気候変動に伴い局地的な豪雨が多発し浸水のリスクが高まっている。降雨は広域にわたって流入し、ボトルネックとなる施設があると上流域の地域が広域に浸水するため、地域内または上流側地域との連携により総合的な対策が不可欠となる。
 同社が開発した水位観測システム「SkyManhole®」は、浸水リスクをモニタリングすることで防災・減災対策の高度化を実現している。
    1)雨水排水施設の運転最適化
    2)避難情報の早期発出
    3)浸水シミュレーションの精度向上 など
 当該サービスは、溢水の可能性がある都市河川や、冠水の危険がある道路等、市域内の様々な施設に適用が可能な技術である。適用範囲を拡大しより有効な災害対策を実現するため、ため池等の農業用施設向けにシステムの見直しを図った。
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(※注)「農業農村整備民間技術情報データベース」
一般社団法人 農業農村整備情報総合センター(ARIC)がウェブサイト上で公開する技術データベース。
民間企業等が開発した農業農村整備の推進に資する技術情報を、国・都道府県等事業実施団体へ普及すること
を目的に開設された。
業者選定の際の評価にも用いられる。
URL:http://www.nn-techinfo.jp
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②農業用施設における防災対策
 平成30年7月豪雨の際に多くの農業ため池が決壊し、人的被害を含む甚大な被害が発生した。これを機会に農業用ため池の防災工事が急ピッチで進められている。
 また、ため池や農業用ダムは雨水の一次貯留機能を有し、用排水路や樋門等の排水施設は雨水排除の機能を果たしている。大雨災害が多発するなか、これらの農業防災施設の機能向上と監視がますます重要となっている。
 同社のSkyManhole®システムは、これら農業用防災施設について、デジタル技術を用いて有効かつ低コストでモニタリングすることができる。

2.技術の概要
①システムの特長
 SkyManhole®の特長は以下のとおり。
 ● 圧力式水位計を用いることで正確な水位情報を取得
 ● 電池駆動方式を採用し電源工事が不要
 ● 低電力型の通信と通信頻度の自動切替機能によりバッテリー負荷軽減
 ● クラウドシステム連携により情報共有とAI等との連携

②農業用施設への適用
 SkyManhole®は、ため池等の水位を圧力計センサで監視し、携帯電話の電波を通じクラウド上に情報を収集する。(画像)
なお、農業用施設に適用し、次の改良を加えている。
● 携帯電話の電波(LTE-M方式)に適用
ゲートウェイ等の特別な通信設備を不要とし、利用範囲の拡大と導入コストの削減を可能とした。
注)LTE-M:携帯電話の周波数の一部を有効活用し、IoT等機械通信に利用される通信方法。
 速度が低いものの通信が安定しており、消費電力が低い特徴がある。

● 耐水耐塵性能向上
 圃場等の風雨にさらされる環境に対応し、耐環境タイプを開発した。IP68以上の耐水性を備え、過酷な環境でも安定稼働する。
注)IP68:JISが規定する電子機器などの防水防塵性能を表す等級。68は最高等級を表す。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000113407.html