アストロスケール、英国宇宙庁より開発費用として170万ポンドを調達

(株)アストロスケールホールディングスの100%英国子会社であるAstroscale Ltd.(以下「アストロスケール英国」)は、地球低軌道から役目を終えた衛星を除去する技術の開発を続けるための追加資金、170 万ポンドを英国宇宙庁(UKSA)から受け取った。
このデブリ除去研究プログラム、「COSMIC(コズミック、Cleaning Outer Space Mission through Innovative Captureの略)」の最新フェーズでは、アストロスケールのRPO*1(ランデブ・近傍運用)や捕獲機能を活用し、現在地球を周回している、役目を終えた英国の衛星2機を2026 年までに除去する。

アストロスケールは、現在混雑した軌道にある英国の衛星の中から複数の衛星を除去対象候補として選定しており、その内2機が最終的な除去対象としてこのCOSMICミッションのフェーズBにて決定される。この最終決定には、さらなる宇宙状況把握データが活用される。

COSMICミッションは MDA英国、Thales Alenia Space英国、Nammo、GMV-NSL、NORSS、Goonhilly、Satellite Applications Catapult、Willis Towers Watson等を含む、イングランド、スコットランド、北アイルランドの英国を拠点とする 10 社のパートナー企業と協力して開発される。

アストロスケールには、広範なシステムエンジニアリング、航法誘導制御(GNC)、ミッション管制、そして地上セグメントの専門知識がある。また、ロボット工学および衛星システムのパイオニアとして知られる、MDA社と提携しており、同社の知見も活用する。

英国で推進系の分野でリーダーとして知られるThales Alenia Space社は、本ミッション研究において、燃料補給など、軌道上での改修面や推進系システムに注力するほか、捕獲機の組立・試験・検証等も支援する。

アストロスケールは2021年から2022年にかけて実施したデブリ除去技術実証衛星ELSA-d(エルサ・ディー、End-of-Life Services by Astroscale – demonstrationの略)」のミッションにて、捕獲機能やRPO技術などを実証した。このミッションにおいて、同社はセンサを搭載した捕獲機で複雑なマヌーバを行い、模擬デブリの再捕獲、絶対航法の技術(GPSと地上観測)を活用したサービサーの誘導航法、および絶対航法から相対航法への切替えなどに成功した。

またアストロスケールは、欧州宇宙機関(ESA)、英国宇宙庁、そしてグローバルに衛星通信サービスを提供するOneWeb社とのパートナーシップで進める「Sunrise(サンライズ)」プログラムにて、軌道上ミッションで役目を終えた複数の人工衛星を除去する衛星、「ELSA-M( エルサ・エム、End-of-Life Services by Astroscale – Multi clientの略)」の開発を進めている。COSMICにおけるデブリ捕獲機は、このELSA-Mを進化させるものです。最初のELSA-M衛星は、英国のデブリ除去ミッションに先立ち2024年に打上げを予定している。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000067481.html