「徳島大学におけるイノベーション ~多様な産学連携の推進~」
 3章:CO.TOKUSHIMAの活動(2)

 

徳島大学 研究・産学連携部 地域産業創生事業推進課
徳島大学 高等教育研究センター学修支援部門 創新教育推進班 徳島大学i.school

・地域社会へ提供するワークショップ
CO.TOKUSHIMAでは、地域課題と大学のシーズを掛け合わせたワークショップを企業、地元高校生、徳島大学生に提供している。
 例えば、2020年度から美馬市と連携し、「人生100年時代」を見据え「高齢化を全ての人が幸せになるチャンスに変える社会」である、『創造的超高齢社会』を実現するため、『美と健康』をキーワードとして高齢者の社会参画につながる土台を作るとともに、市民や企業、行政の主体的な行動を促すことを目的として、美馬市とともにアイデア創出に取り組んでいる。アイデア創出ワークショップで生まれたアイデアは、美馬市役所内で精査、市の施策に取り入れられるか検討している。

図3 人生100年時代のまちづくりワークショップ
図3 人生100年時代のまちづくりワークショップ
図3 人生100年時代のまちづくりワークショップ
(美馬市と徳島大学(次世代ひかりトクシマ・人と地域共創センター)が連携した
「人生100年時代プロジェクト」の一環)

 そのほかにも地元高校生に向けて、デザイン思考ワークショップやサイエンスカフェを提供しており、参加した高校生4名が、イノベーション創出手法に興味を持ち、徳島大学に進学し、後述の徳島大学 i.schoolに参画することとなった。

・徳島大学内にニーズ発イノベーション創出のための体制づくり
CO.TOKUSHIMAでは、イノベーション創出手法の中でも「イノベーションワークショップ」に力を入れて取り組んでいる。このワークショップの運営には、ディスカッションパートナー(以下DPという)と呼ばれるテーブルファシリテーターのような役割が必要不可欠である。徳島大学では、イノベーションワークショップ内製化のために、2019年から教職員に向けたイノベーションワークショップのファシリテーター養成を行い、現在7名のDPがいる。これにより、2021年度から大学の学部と大学院の授業へのイノベーションワークショップ導入が可能となった。本取組は大学が推進するイノベーション教育・アントレプレナーシップ教育と方向性が一致しており、連携して学部教育へ展開するために、令和4年度より専任ファシリテーターを徳島大学 高等教育研究センター 学習支援部門 創新教育推進班に特任講師として雇用し、「徳島大学 i.school」をスタートした。これにより、CO.TOKUSHIMAの機能を大学教育の中に取り込んで活用できるようになった。

3.4 徳島大学 i.schoolについて

 2022年4月に、一般社団法人日本社会イノベーションセンター(JSIC)が運営する東京大学発イノベーション教育プログラムである i.schoolの全国初の認可を受け、徳島大学 高等教育研究センター 学習支援部門 創新教育推進班の取り組みとして徳島大学 i.schoolをスタートした。
 この徳島大学 i.schoolは、「徳島」から日本や世界を変えるイノベーションを実現することを目指し、イノベーション創出プロセスを設計、実施できる人材を「徳島」において育成することを目的としている。講師は、JSICが認定する検定を取得した教職員4名が主となって年間教育プログラムを提供している。初年度である令和4年度は募集を上回る応募があり、面接での選定の結果、学部1年生から大学院1年生までの13名の学生を通年生として採用した。

図4 徳島大学 i.schoolキックオフセレモニー
図4 徳島大学 i.schoolキックオフセレモニー

 徳島大学生へ提供する年間教育プログラムでは、5つのワークショップを通して、新たな価値を生み出し、社会に大きな変革を起こす「イノベーション」を創り出すための思考プロセスを学び、新規性を生み出す手法の理解、新規性を生み出す手法を活用した新規アイデア創出、新規アイデアの評価とブラッシュアップのスキルを磨く。任意参加の教育プログラムであるが、一定の能力を取得したとみなされた参加者には修了証を発行する予定としている。
 また、徳島大学 i.schoolでは、年間プログラムの提供のほかに、CO.TOKUSHIMAで行っていた学内外へのワークショップや授業の提供を引き続き行う予定である。

 以上の様に、CO.TOKUSHIMAでは、「共創」を目的とした実に多様な取り組みを行っている。これらの取り組みに基づいて、イノベーション創出を活発に展開し、「創造的超高齢社会」の実現を目指していきたい。