「徳島大学におけるイノベーション ~多様な産学連携の推進~」
 3章:CO.TOKUSHIMAの活動(1)

 

徳島大学 研究・産学連携部 地域産業創生事業推進課
徳島大学 高等教育研究センター学修支援部門 創新教育推進班 徳島大学i.school

3.1 CO.TOKUSHIMAの目的

 徳島大学では、「共創」を示すコ・クリエーションの醸成を目的に徳島発のイノベーション創出の手法確立を推進する事業として「CO.TOKUSHIMA」を設置している。地方人材の活用と未来の創出に向け、徳島大学の学内、地域産業界および徳島県をはじめとした県下自治体・地域それぞれに対しコミュニケーションの知見と場を提供するとともに、各組織を結ぶ連携・協働の対話を促進することで、地方人材によるイノベーション創出の土壌を形成するため、以下の3つのミッションに取り組んでいる。

(1)地域課題と大学のシーズを題材とした、徳島発のイノベーションを生み出すワークショップ手法の確立
(2)対話の手法を地域に根づかせるための大学を起点としたファシリテーション人材育成と大学全体にファシリテーションの基盤・体制づくり
(3)徳島大学内にニーズ発イノベーション創出のための体制づくり

3.2 ミッション実現に向けた活動・成果

 CO.TOKUSHIMAでは、徳島大学教職員・学生・企業・地域に向け、事業支援のためのビジョン作成やチームビルディング、研究・産学連携・地域支援のアイデア発想、人材育成のためのイノベーション教育と、テーマに合わせたさまざまな対話の場やワークショップを提供している。具体的には、地方大学・地域産業創生交付金事業応募に向け、産官学金のステークホルダー50名を集め開催したビジョン作成ワークショップ「徳島の「光」で創造的超高齢社会の将来を明るく照らす」(図1(左))をはじめとして、これまでにCO.TOKUSHIMAが企画したワークショップは合計89回、参加者3773名(累計)、参加企業数64社(累計)、参加高校数17校(累計)に上る。
 ワークショップの手法としてはフューチャーセッションやグラフィック・ファシリテーションといった専任ファシリテーターの強みを活かしたものに加え、東京大学i.school(現在は一般社団法人日本社会イノベーションセンター:JSIC)が開発した「破壊的イノベーション」を起こすための思考プロセスを体系化したワークショップ「イノベーションワークショップ」や、前述のスタンフォード大学発「バイオデザインワークショップ」といった先進的なイノベーション創出アプローチ手法も取り入れている。

3.3 CO.TOKUSHIMAのワークショップの事例

・内閣府交付金事業「次世代ひかりトクシマ」事業支援ワークショップ
1)『徳島の「光」で創造的超高齢社会の将来を明るく照らす』
 2018年4月6日、4月19日に開催したワークショップ「徳島の「光」で創造的超高齢社会の将来を明るく照らす」では、「徳島にはどんな未来が必要か?」というテーマの未来志向のワークショップ“ フューチャーセッション”を行い、事業関係者を広く集めてアイデアを抽出し、「創造的超高齢社会」とは”高齢化を、すべての人が幸せになるチャンスに変える社会”であると定義してビジョンを作成。このビジョンを元に内閣府交付金事業に申請し、採択された(図1(右))。

「徳島の「光」で創造的超高齢社会の将来を明るく照らす」ワークショップ
ワークショップから生まれたビジョン
図1 (左)「徳島の「光」で創造的超高齢社会の将来を明るく照らす」ワークショップ
(右)ワークショップから生まれたビジョン

2)「フューチャーサーチで導く 未来共創ワークショップ」
 2021年7月5日、7日に開催した「フューチャーサーチで導く 未来共創ワークショップ」では、内閣府交付金事業に参画する産学金官36名のステークホルダーが過去、現在、および未来の様々な視点からダイアログ(対話)を行った。このダイアログを整理することで、参加者の共通の価値(コモングランド)を見いだし、これに基づいて将来のビジョンを描くことで、未来共創のイメージを具体的に共有することができた。

図2 「フューチャーサーチで導く 未来共創ワークショップ」
図2 「フューチャーサーチで導く 未来共創ワークショップ」


次回に続く-