ST、センサ内部でのAI学習を実現するMEMSモーション・センサを発表

 STマイクロエレクトロニクスは、インテリジェント・センサ・プロセッシング・ユニット(ISPU)を搭載した、新しいMEMSモーション・センサ「ISM330ISN」を発表した。同製品は、学習済みデバイスとともに高度な処理機能をエッジ周辺からエッジ内に移行し、オンライフ時代の実現に貢献するという。

ISM330ISNは、状態や動作を検出する常時オンの6軸MEMSモーション・センサ。組込みAI機能を使用することで、サイズや消費電力において、きわめて優れた性能・精度を実現する。IoT機器や産業機器に最適で、予知保全用の状態モニタ機器、バッテリ駆動のアセット・トラッキング機器、ロボットなどの産業アプリケーションにおいて、応答時間の短縮やバッテリ寿命の延長に貢献する。

ISM330ISNには、AI機能が組み込まれているため、IoT機器が外部マイクロコントローラ(マイコン)に接続することなく、センサ内部で先進的なモーション検出機能を処理することができ、システム全体の消費電力削減に貢献する。ISM330ISNは、センサ・チップ上に機械学習アプリケーションに最適化された専用プロセッサであるISPUを集積している。これにより、センサとマイコンを1パッケージに集積する場合と比べて、実装面積および消費電力を約50%削減している。

ISPUは、STのオンデバイス学習ソリューション用ソフトウェア・ツール「NanoEdge AI Studio」を使用してプログラミングすることができる。STM32マイコンにおける組込みAIアプリケーション実装で幅広く使用されている NanoEdge AI Studio がISPUにも対応し、最適化された機械学習ライブラリを簡単に自動生成できるようになった。また、データ・サイエンスに関する専門知識が無くても、最小限のデータとわずか数クリックの操作で、ISPU内部にAI学習機能を組み込んだ異常検知用ライブラリの設計も可能。

ISM330ISNは、革新的なAI機能を備えつつ、従来と同じサイズのパッケージ(3 x 2.5 x 0.83mm)で提供される。そのため、既存の回路基板レイアウトを変更することなく、低コストかつ迅速に製品をアップグレード可能。
ISM330ISNは、STの10年間の長期製品供給保証プログラムの対象製品。 システムの設計者や製造者に長期的な製品供給を保証している。

ISM330ISNは、2022年後半に量産が開始され、STのウェブサイトまたは販売代理店で提供される予定である。単価は、1000個購入時に約3.48ドル。ISPU用に設計されたライブラリを作成できるNanoEdge AI Studioは、STのウェブサイトから無償で入手可能。STのセールス・オフィスまたは販売代理店までお問い合わせのこと。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001246.000001337.html