デジタルツイン上で風力発電設備の情報を一元化、統合分析ダッシュボードの提供

 エヌ・ティ・ティ・コムウェア(株)とCognite(株)は、風力発電事業者に向け、複数拠点の異なるメーカーの発電設備の発電量や収益状況、メンテナンス情報などを一元的に可視化する「統合分析ダッシュボード」を開発し、5月19日から提供開始する。  本サービスは、デジタルツイン空間上でAIモデル等によりデータ分析・活用を行うNTTコムウェアのインフラ設備DX基盤「Smart Data Fusion」の新メニューとして提供する。ノルウェーにグローバル本社を置き、欧米における生産設備のデジタルツイン構築や多数の風力発電設備管理ダッシュボード作成支援の実績があるCogniteの知見を活かし開発したサービスであるとのこと。

 世界で脱炭素化に向けた動きが加速し、日本でも2050年推定需要発電量に対して風力による供給を30%以上とすることが目標*1になるなど、風力発電は再生可能エネルギーの中でも高い成長が期待されているが、発電コストが高止まりで発電効率向上と運用コスト低減が課題となっている。発電設備の多くが海外製品であることにより部品調達に時間がかかり、ダウンタイムが長期化することもコスト増加の要因の一つである。発電事業者は事業性を担保し安定的に電力供給するため、長期にわたり発電設備を適切にオペレーション・メンテナンス(O&M)することが求められている。
 本サービスでは「経営層(主に発電事業者)向け」「運用者(主にO&M事業者)向け」ダッシュボードを提供する。

■経営ダッシュボード
各地の発電設備データを収集・統合し、設備稼働率、収益予測や設備ごとの発電ロス比較など設備投資計画の策定や発電事業運営に必要なデータを、対計画・設備別に参照・分析することが可能。また、鳥検知ダッシュボードも提供し、風車周辺を飛ぶ鳥をAIで検知して個体数カウント、動画アーカイブにより、バードストライク対策、環境アセスメントのための情報収集が可能である。

■運用ダッシュボード
設備が全国に点在していたり、異なるメーカーの製品であっても、一元的に風速・発電量・アラームなどをリアルタイムに参照可能。発電状況、IoTセンサー等の収集データからデジタルツイン上で異常検知を行い、アラームの発出を可能にする。事業者が既に利用しているAI分析モデルや、これまでのメンテナンスノウハウや知見を活用して作成した独自のモデルを組み込み、早期異常検知・予兆保全等への活用も可能である。適切なメンテナンスを行うことで、大きな故障・トラブルを予防し、ダウンタイムの削減につなげることができる。

本サービス開発にあたっては、
・欧州及び国内における数々の風力発電プロジェクトに参画経験のある発電事業者の住友商事(株)
・風力発電事業とそのメンテナンスの両方のノウハウを持つシグマパワージャネックス(株)
・NTTグループのスマートエネルギー事業推進の中核会社として再⽣可能エネルギーの電源開発や電力供給を行うNTTアノードエナジー(株)
に、発電設備運営や管理についてのアドバイスなど協力を得て、事業者のリアルなニーズに対応したテンプレート化を行うなど、実用的な統合分析ダッシュボードを実現している。

 NTTコムウェアとCogniteは、今後も発電事業者やO&M事業者など利用者のニーズを反映しながら、本サービスをはじめとするスマートメンテナンスソリューションを継続的にブラッシュアップして提供することで風力発電業界の課題を解決し、サスティナブルな社会実現に貢献していくという。

*1 一般社団法人日本風力発電協会(2020年7月17日)
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/yojo_furyoku/pdf/001_04_01.pdf

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000055932.html