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変位センサによる「構造ヘルスモニタリング」の実現

株式会社ナノシード

1.はじめに

株式会社ナノシードは、海外の最先端のステレオカメラ、光ポンピング磁力計などのセンサおよび光学関連製品を扱う専門商社だ。数年後の顧客にとっての新規事業・研究に貢献できるような製品を開拓し、要望に合わせた柔軟な提案を行っている。

昨今の日本では、道路・橋・トンネル・ビルといった構造物の老朽化や劣化が課題となっており、構造ヘルスモニタリングのニーズが高まっている。構造ヘルスモニタリングの実現には各種センサの活用が必須となるが、そこで問題となるのがセンサの耐久性である。構造物のセンシングは屋外の過酷な環境下で行われるケースが多く、耐久性に優れたセンサが求められている。また、センサの取付けには時間と労力を要し、コストも比較的高価であることから、未だ一般的な普及には至っていない。

本稿では、同社が取り扱っている変位センサの紹介も交えながら、構造ヘルスモニタリングの実現に至った事例について紹介する。

2.変位センサ DSシリーズ

ナノシードは、デンマークのElastiSense社が開発した「変位センサ DSシリーズ」を取り扱っている。ElastiSense社は、産業用向けに設計されたElectroactive Polymer(EAP)センサを専門とするベンチャー企業であり、ソリューションを提供するために、力学・電子工学・ソフトウェア・モデリング・プロセス設計などの必要な技術を備えている。

「変位センサ DSシリーズ」は、革新的で高い耐久性を持つ変位センサである。ストレッチセンサで構成され、高品質のシリコーンゴムで完全にカプセル化されている。これにより、雨・雪・ほこり・熱・寒さ・汚れ・その他の環境や天候に関連する障害物などの外部の影響に耐えることができる。また、ストレッチセンサ技術とシリコーンゴムのカプセル化を組み合わせることで、あらゆる方向に曲げることができ、オーバーストロークやミスアライメント(芯ズレ)にも耐えられるという特徴を持つ。

図1.「変位センサ DSシリーズ」
図2.「変位センサ DSシリーズ」の仕様


これらの特徴により、非接触センサまたはシリンダーベースのセンサに代わる効率的かつ最適な手段として提供されている。さらに、「変位センサ DSシリーズ」は他のセンサ技術とは異なり、センサの特別な取り付け、保護、およびクリーニングの必要がない。そのため、取り付け・操作・メンテナンスにかかる労力とコストを大幅に削減できる。

3.構造ヘルスモニタリングとは

構造ヘルスモニタリング(SHM)は、構造物にセンサを取り付けて振動などを読み取り、信号処理手法を用いて構造物の損傷・劣化箇所の診断や予測を行う技術だ。新しい構造物はもちろん、既存の構造物に対してもセンサを設置すれば、応答波形から現在の状態を診断することができ、どれほどの補強が必要なのかを判断できる。

構造物の老朽化や劣化は、構造物の性能に大きな影響を与え、最悪の場合は損傷や崩壊を引き起こして人命をも危険にさらす可能性がある。そのため、構造物の所有者や管理者は、構造物の安全性と信頼性を確保するために、適切なメンテナンスを行わなければならない。

構造物のメンテナンスはまず現場調査から始まるが、従来はすべて人の手や目視によって診断が行われていた。構造ヘルスモニタリングによってそれらを自動化させれば、メンテナンスにかかる時間の短縮や人手不足の解消にもつながると考えられている。

構造ヘルスモニタリングの用途として特に注目されているのは、公共設備における監視システムとしての役割だ。橋やトンネル、高圧水道、道路など、いわゆるインフラ設備に対して構造ヘルスモニタリングを導入すれば、時間帯によって異なる負荷を計測したり、経年劣化などで損傷が発生した箇所に迅速かつ的確なメンテナンスを行ったりできる。

4.ノルウェーの橋への設置事例

「変位センサ DSシリーズ」は、実際にノルウェーの橋に設置されて構造ヘルスモニタリングを行っている。さまざまな温度での橋の変位を監視して亀裂の発生を予測し、一般的な診断を実行する目的で、2021年12月16日に設置されたものだ。

図3.ノルウェーの橋への設置事例

橋は常に荷重や温度変化にさらされており、構造的な変形が生じている。橋が古くなったり、過大な荷重がかかったりすると、変形が大きくなっていき、やがてはひび割れなどの構造的な欠陥が発生して安全性が損なわれてしまう。橋の点検や診断も、従来は技術者が手作業で行っていたが、コストや時間がかかるだけでなく、入力ミスや測定ミスといったヒューマンエラーが発生する可能性も少なくない。

しかし、センサを取り付けて橋の変形をモニタリングすれば、より低コストで信頼性の高い点検・診断を実施できる。橋の状態をリアルタイムで把握し、ひび割れなどの欠陥の発生を予知して、適切なタイミングでメンテナンスを行えるようになるのだ。

ただし、温度・水・雪・氷・塵といったさまざまな環境変化にさらされる橋の変位を測定するセンサは、機械的な負荷と環境的な負荷の両方に耐えられるものでなくてはならない。そこで、優れた耐久性を持つ「変位センサ DSシリーズ」が採用されることとなった。

ノルウェーの橋では、橋床と橋台の間に「変位センサ DSシリーズ」が2つ設置されており、変位を測定している。また、センサは無線データロガーに接続されて、数時間ごとにセンサの測定値を送信している。測定データはWebサーバ上で公開されているので、利用者は橋の変形を継続的に監視し、メンテナンスのために必要な判断を下すことができるという仕組みだ。

図4.履歴データ

なお、このノルウェーの橋での測定データはこちらのサイト( https://www.smartsensorsystems.no/ibridge-live-sensordata/ )で観測することができる。リアルタイムな測定データだけでなく、2021年12月16日以降の任意の日付を選択して[再読み込み]をクリックすれば、過去の測定データも確認できるので、興味のある方はご覧いただきたい。

温度とセンサのデータを相関させて見ると、温度が上がれば橋が膨張し、橋床と橋台が互いに近づく(センサの信号が下がる)、あるいはその逆であることが分かる。橋の状態は、温度変化に対するセンサの変位量によって特徴づけられるため、温度変化に対してセンサのデータ変化が大きければ、ひび割れなどの欠陥が発生する可能性が高いということだ。このように、従来の人の手による点検・診断の方法とは異なり、データの変化をもとに予測を立てやすいことが、構造ヘルスモニタリングのメリットといえるだろう。

5.その他の用途

「変位センサ DSシリーズ」は構造ヘルスモニタリング以外にも応用できる。

たとえば、フォークリフト・トラクター・ショベルカーといった作業車両のモニタリングだ。作業車両は過酷な条件下で使用されており、故障による稼働停止や人命への危険を最小限に抑えなければならない。「変位センサ DSシリーズ」は、作業車両の中でも最も過酷な部分に取り付けて衝撃・振動・ズレなどの変位を測定し、モニタリングと適切なメンテナンスによって信頼性と寿命を向上させることができる。

図5.作業車両への「変位センサ DSシリーズ」の取り付け

また、工場内で稼働する工作機械のような大型設備のモニタリングにも適している。設備トラブルは工場にとって悩みの種であり、生産性や品質に大きな影響を与えてしまう。設備トラブルによる損失を防ぐためには、適切なタイミングでメンテナンスを行う必要があるが、特に古い設備にはセンサが備わっていないことも多い。優れた耐久性を持ち、設置もしやすい「変位センサ DSシリーズ」であれば、こういった設備のモニタリングを行う選択肢の一つになるというわけだ。

6.おわりに

構造物の老朽化や劣化に悩まされている日本では、人の手作業による点検・診断が大きな課題となっている。少子高齢化に伴う人手不足という課題も抱えている日本にとって、こうした作業の効率化は急務といえるだろう。構造ヘルスモニタリングが、効果的な解決策の一つであることは間違いない。

同社では今後も、「変位センサ DSシリーズ」を始めとする最先端のセンサや光学関連製品をより多くの方に提供しつつ、日本の抱える課題の解決に貢献することを目指していきたいとしている。


■お問合せ
ナノシード株式会社
TEL: 03-5953-8810 ※受付時間 10:00〜18:00(土日祝日を除く)

変位センサ(以下のサイトよりご覧ください)
https://nanoxeed.co.jp/product/ds_series/