広島商船高専「EVロボティックスボートで水上デマンド交通の実現を目指す自律航行技術開発」

広島商船高等専門学校は 水上EVデマンド交通(※1)のスタートアップ企業である(株)エイトノットと、「EVロボティックスボート(※2)で水上デマンド交通の実現を目指す自律航行技術開発」の実証実験を行った。

■ EVロボティックスボートで水上デマンド交通の実現を目指す自律航行技術開発について
 島しょ地域における離島航路の存続は、日本国土の保全性や利活用の観点から重要な問題であり、これらを支える担い手の減少に歯止めが利かない状況ですあるその主因には、運航管理に関する固定費が実際の旅客輸送の需要と合わない、人材不足がある。こうした航路において、新しいビジネスモデルを築かない限り、持続可能な離島振興は難しくなる。そのため広島県所在の大崎上島沖にて実証実験を実施し、水上デマンド交通の実現可能性について検討を行った。
 また、技術研究のみならず、船舶・運航管理を担う広島商船高専の学生に対し、基礎的な教育を実施し、実際に試作等を通じて、新しい水上デマンド交通についての管理や運航について学べるコンテンツの作成、検証を目的としている。

※1 水上EVデマンド交通:電気を動力にして動くEV船を用い、タクシーのように利用者が使用したいというと思う時に、行きたい場所や利用したい目的に応じての船舶利用を実現する交通システムのこと。
※2 EVロボティックスボート:見張りや船体運動をLIDAR(レーザー光を走査しながら対象物に照射してその散乱や反射光を観測することで、対象物までの距離を計測したり対象物の性質を特定する光センサ技術)などのセンサを用いて検知し、AI技術を用いた制御コンピュータによって操船意図を決定し、舵や推進器を自律的に動かし運航するロボット技術を用いた小型船舶のこと。

■実証実験について
 実証実験では(株)フレスタ大崎上島店に協力を得て、以下の手順で大崎上島から隣島の「生野島」へ「自律航行船」を運航させ商品の運搬を行った。
1)生野島の住民の方から、カタログ等を通じて商品を注文する。
2)株式会社フレスタ大崎上島店に滞在している学生スタッフが注文した商品を購入し、本校桟橋まで陸送する。
3)本校桟橋から生野島間においては自律航行船で輸送を実施し、注文した商品を受け渡す。
4)生野島の島民の方から家庭ごみを回収し、再び自律航行船で本校桟橋まで輸送を実施する。

 同校商船学科岸教員をはじめ、専攻科海事システム工学専攻科2年生2名、1年生2名、商船学科5年生2名の計6人が約2か月間にわたりエイトノットとともに自律航行船舶の開発に携わった。

【広島商船高専開発担当箇所】
・安全かつ実験の目的に沿った海域を設定するために、学生が日常的にその海域を使用している人々と乗船し、海域の確認を行った。そして海図等の情報と照らし合わせながら情報収集と整理を行い、危険な箇所や運航に適切ではない区域をgoogle mapに記録し、安全な海域の地図情報を作成した。
・上記の要領で作成した地図情報をエイトノットの開発チームに提供し、実験の目的に応じて地図情報の改善を行った。結果、事故が発生することなく無事に実証実験を行えた。
・様々な船の運航や操船時の船体運動などについても議論を行い、自律航行船舶の改良への支援も行った。
・授業や実習等で培った技術をもとに、学生自ら船の管理(係留や整備など)を行い、実証実験が予定通りの行程になるようサポートした。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000092.000075419.html