ams OSRAM、UV-C LEDで新型コロナウイルスを効果的に不活性化できることを確認

ams OSRAMグループは、イタリアのパドヴァ大学と共同で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するams OSRAM UV-C LEDの有効性に関する試験結果を発表した。
新型コロナウイルスの感染拡大は、世界の多くの地域で日常生活に影響を与え続けているが、感染拡大を食い止めるためのさまざまな対策に加えて、UV-C光を使用した殺菌ソリューションの普及が進んでいる。従来の水銀ランプは大型で有効波長域が限られていた。しかし、LED技術の著しい進展により、UV-C光を利用した新たな応用分野が拡がっている。今回、パドヴァ大学が実施したams OSRAM製UV-C LEDの効果に関する研究では、LEDが感染抑止対策に有効であることが確認された。

高い強度のUV-C LEDを照射することで、新型コロナウイルスを迅速に不活性化できることがすでに示されている。室内上層空気浄化装置や二次空気処理装置のような現実的な用途では、ウイルスの除去に必要な線量を数サイクルにわたって照射する。つまり、より低い強度で、より長時間照射することで、必要な線量に到達させる。
ams OSRAMとパドヴァ大学は、現実的なシナリオに合わせて、UV-C LEDを使用した効果的なシステム設計を追加的に実証するため、異なる照射レベルの影響について現実的な評価を示すことに重点を置いて実験を行った。この実験では、新型コロナウイルスの不活化に必要な線量だけでなく、低照射から高照射まで100倍以上の異なる照射レベルにわたり安定性も評価された。ams OSRAMとパドヴァ大学による実験は、照射量や照射時間を増やすことで簡単に達成でき、可能な限り最高あるいは最速の減少率に焦点を当てて研究を行うその他の実験とは異なるという。

パドヴァ大学分子医学部の実験では、ams OSRAMのOslon UV 3636 LEDによるUV-C照射が、新型コロナウイルスの量を効果的に減少させることが確認されている。これは、このメカニズムが病原体の変異型にも効果を発揮する可能性があるという最近の論文(*1)で報告されているエビデンスを補強するものであり、今回とそして起こり得る次のパンデミックに対して、将来においても有効な治療方法を提供することができるとのこと。

実験では、2つの異なる出力クラス(4mWと42mW)のOslon UV 3636を固定装置に搭載し、病原体から300mmの距離に配置した。すべてのLEDは275nmの波長である。プローブの均一な照射を光混合チャンバで実現し、すべての反射を考慮した上で照射量が決定された。低い強度では、2,7 mJ/cm2の線量でlog3または最大99.9%の減少、3,6 mJ/cm2の線量でlog4または最大99.99%の減少が得られたとしている。

(*1)Lo, CW., Matsuura, R., Iimura, K. et al、UVC disinfects SARS-CoV-2 by induction of viral genome damage without apparent effects on viral morphology and proteins.(UVCはウイルスの形態やタンパク質に明らかな影響を与えることなく、ウイルスのゲノムにダメージを与えることでSARS-CoV-2を殺菌)、Sci Rep 11、13804 (2021)

ポイント
・ams OSRAMのOslon UV 3636をはじめとするUV-C LEDは、3,6 mJ/cm2(cm2:平方センチメートル、以下同様)の線量で最大99.99%のウイルスを不活化
・非常に低い強度でも新型コロナウイルスを効果的に不活化でき、空気殺菌システムなどのシステム設計のさらなる効率化が可能
・UV-C放射線はウイルス内の核酸(DNAまたはRNA)にダメージを与えるため、新型コロナウイルスだけでなく、変異型ウイルスにも効果を発揮

※本プレスリリースは 2021年11月4日にオーストリア・プレムシュテッテンで発表したプレスリリースの抄訳版。

プレスリリースサイト:https://www.dreamnews.jp/press/0000247834/