姿勢・制振制御のアプリケーションに最適なIMU『M-G370PDS0』

セイコーエプソン(株)は、このたび高性能な6軸センサを搭載した慣性計測ユニット(IMU*1:Inertial Measurement Unit)の新製品『M-G370PDS0』を開発、サンプル出荷を開始した。本製品は2022年春の量産を予定している。

2011年にエプソン初となるIMU製品を発売以来、同社IMUは、利用客のさまざまなアプリケーションに採用され、多くの実績と高い品質により、市場から好評を得ている。近年、空中・海中など無人機による映像撮影・測量など利活用分野が広がり、より正確な位置・姿勢制御のニーズが増大している。それに伴いIMUには姿勢制御において重要とされる精度、特にノイズ性能への要求が高まっている。
新製品『M-G370PDS0』は、従来品に比べ短期安定度である角度ランダムウォーク*2を半減させることに成功し0.03°/√hを実現、機器やシステムに発生するわずかな姿勢変化をセンサーノイズに埋もれさせることなく、より正確に検知することが可能となる。さらに、小型・軽量・低消費電力の特長により、利用客製品の小型化、軽量化にも貢献するという。
また、従来製品(M-G370/365/364/354)と互換性を維持しているため、容易に性能のアップグレードもできる。

■新製品の特長
 従来の高安定に加え、低ノイズを両立した高性能センサーを搭載
 角度ランダムウォーク:0.03°/√h
 ノイズ密度:2.5(°/h)/√Hz
 静止状態から高速動作まで高精度に計測する優れた動的性能(感度直線性)を実現
 従来製品(M-G370/365/364/354)と互換性を維持し、お客様の開発コスト・評価期間を大幅に削減可能
 低消費電流 16mAを実現

■本製品のアプリケーション
 無人機(産業ドローン・地上車・海底探査 など)
 カメラ・アンテナなどの制振制御
 産業機器などの振動・角度・軌道計測
 ナビゲーションシステム(GNSS*3、INS*4、高精度ロケータ)、など

【用語説明】
アラン分散: センサーの性能を表す指標の一つで、静止時出力の安定性を表している。横軸にデータの平均時間、縦軸に平均時間で区切ったときの平均値の分散を示している。アラン分散に現れる特性の傾きは-1、-1/2、0、1/2、1乗の傾きになることが知られており、アラン分散はノイズ密度と相関性があり、ノイズ密度は周波数、アラン分散は時間で表現される指標である。値が小さいほど、安定度が高く、性能がよいことを示す。

*1:慣性計測ユニット(Inertial Measurement Unit:通称IMU)
 3軸の角速度センサーと3軸の加速度センサーからなる慣性運動量を検出する装置
*2:角度ランダムウォーク
 アラン分散の-1/2乗の傾きをもつ部分を角度ランダムウォークと呼ぶ。ホワイトノイズと相関があるため、平均時間を長くすると平均時間の-1/2乗で値は小さくなる。
*3:GNSS(Global Navigation Satellite System)
 全地球測位衛星システム
*4:INS(Inertial Navigation System)
 慣性航法装置

ニュースリリースサイト(Epson):https://www.epson.jp/osirase/2021/211021.htm