ワイヤレス給電のエイターリンク、NEDOの研究開発型スタートアップ支援事業に採択

米・スタンフォード大学発のスタートアップ・ベンチャーのエイターリンク(株)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の2021年度「研究開発型スタートアップ支援事業/シード期の研究開発型スタートアップに対する事業化支援(以下、STS)」第2回公募に採択されたと発表した。

NEDO が実施するSTSは、将来の大型スタートアップとなるシード期の研究開発型スタートアップの創出・育成を目的に、NEDOとVC等が協調して当該スタートアップを支援する事業。
( URL:https://www.nedo.go.jp/koubo/CA3_100309.html )

◆今回採択された助成事業および助成内容は以下の通り。
・助成事業の名称:FA用センサへの中距離無線給電と高速データ伝送技術の開発
・事業期間:2021年10月11日~2023年3月31日
・最大助成額:7,000万円
・認定VC:株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ

◆本事業の狙い
ロボット用チャック先端部のセンサをワイヤレス化することにより、断線によるライン停止を無くす。既存システムでは3カ月に1回程度の断線が発生しているが、本技術を導入することで断線がなくなり、センサおよび配線の交換による時間のロス、および交換コストの削減に繋がる。
一例として、自動車産業では近接センサ断線によるライン停止は定期的に発生しており、センサおよび配線の交換で数十分の時間を要する。大手自動車会社のライン停止は1分間で約300万円の機会損失を生むと言われている。

◆ワイヤレス給電市場の背景
国内外問わず、現在ワイヤレス給電市場は以下3点の理由により、注目を浴びている。
1)規制緩和:2021年12月、日本国内でもワイヤレス給電が使用できる省令緩和が施行予定。
2)ムーアの法則:デバイスの消費電力が低下していることにより、ワイヤレス給電が応用可能なアプリケーションは増加している。同社の調査結果では、デジタル信号処理=センサやCMOSカメラ等のデバイスは限りなく0に近い消費電力まで落とすことが可能。
3)IoT向けデバイスの爆発的増加:2040年に必要なセンサ数量は45兆個以上ともいわれており*、既存の配線・バッテリーでこれら全てをまかなうことはコストおよび物理的制限の問題により困難である。
*参考:東洋経済オンライン「45兆個の『センサー市場』」は日本の独断場だ
(https://toyokeizai.net/articles/-/154685)

◆今後の展望
本採択を契機に、同社が開発するFAロボットハンド向けワイヤレス給電システムの2023年度の量産化に向け開発と実用化をさらに加速させていくとしている。

ニュースリリースサイト:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000071264.html