―センサイト コラム(3)― 「センサとダイアモンド」

―センサイト コラム(3)―
「センサとダイアモンド」

(一社)次世代センサ協議会
常務理事 島田 芳夫

IoT社会の進展とともにセンサに関する期待と要望が高まってきている。社会システムの多様化が進む中でセンサに対する高度な機能要求が増え、ある意味の [顧客満足度]である[社会対応満足度]が必須となってきている。これに伴いセンサの高機能・高付加価値化の動きが一気に高まってきた。ここで言う高付加価値とはセンサの価格ではなくセンサが担う機能の価値が高まることである。

一方同じように価値(この場合は価格)が高い対象として[ダイアモンド]がある。ダイアモンドを温度あるいは圧力センサとしての機能を使う事もあるが、主な価値は宝飾としての光り輝く価値である。カラット単位での小粒ではあるがその輝きと価値は時代を超えて人を引き付けるものがある。

振り返ってセンサをみると、MEMS技術の普及により小型化され機能の複合化が実現、最近はトリリオンセンサとして巨大な量のセンサが社会システムに使われるべく提案がなされている。これによって個々のセンサとしてはダイアモンド並みに米粒大の小型であってもその担うべき機能はダイアモンドとは異なる輝きを放つことになる。

MEMSセンサとダイアモンドと言う異次元の機能と価値を有する物であるが、前者が社会システムへの適応による人間の幸福度及び満足度を追求する物であるが、後者はそれ自身が放つ輝きによって人間の幸福度及び満足度を追求するものである。 これからのセンサは[ダイアモンドと同じ大きさにして、ダイアモンドより高付加価値なもの]へと追及していきたいと考えている。この実現に向けてセンサの保有すべき機能を明確にし、センサ開発の事前検討から設計・開発段階、さらには社会システムへ実装事項などの明確化を進めるガイドラインを作成する必要があると感じている。

センサを研究開発および事業する方々には[ダイアモンドと同じ大きさにして、ダイアモンドより高付加価値なセンサを目指す]を頭の一角に置き、ダイアモンドに負けない輝きを持ち永遠に光り輝く技術及び製品開発を目指してほしいと願っている。