脱炭素化物流と災害時の孤立集落支援を同時実現する、レベル3でのドローン実証実験

(株)A.L.I. Technologiesは、福井県越前町とAOIエネルギーソリューション(株)が主体となり行われた、ドローン物流実用化のための実証実験(※1)に運航担当として参画し、レベル3(目視外飛行・補助者なし)での飛行に成功した。

【実証実験に至った背景と目的】
越前町は中山間地の集落が多く、災害時の集落孤立や、人口減少及び少子高齢化が進む中、現状の輸送・物流手段によるサービスの品質維持が課題とされている。物流手段をドローンに代替することによるCO2排出量削減と、地域社会と協働した持続可能な物流システム構築の検討が必要となる。
今回は、物流へのドローン活用によるCO2削減効果の検証だけでなく、災害時を想定した防災への利活用にも可能な飛行とデータの取得を同時に実現することで、住民へ貢献できるデジタルデータ化も合わせて検証した。
また、ドローンの持続可能な運航を可能とするため、複数のドローンの飛行情報をリアルタイムで閲覧できるシステムを実装し、地域住民の安全を守る施策を行っている。

【実証実験概要】
日時:2021年4月21日(水)~2021年4月22日(木)
場所:福井県越前町
【4月21日(水)】
越前町立ホッケー場 ⇔ 宮崎コミュニティセンター
【4月22日(木)】
越前町立ホッケー場 ⇔ 織田コミュニティセンター
今回の実験は、本事業のアドバイザーである一般社団法人 空の駅協議会(※2)の全面協力を得て行われた。
災害時、道路崩落により孤立した集落に、食品や救急・応急用品等の物資をドローンで輸送するという想定の下、物資を配送拠点(越前町立ホッケー場)から各中継拠点へ輸送した。今後の実験では、さらに中継地点から孤立集落まで輸送する。

【実証実験の技術/安全対策概要】
・ドローン本体でのデータ記録
・クラウドシステムでのデータ記録
・衝突回避センサ搭載
・360度カメラによるリアルタイム監視
・一般実用化を想定した、離陸時ボタンの簡易化
・遠隔操縦機能
・手動操作への切り替え機能
・タイムスタンプのブロックチェーン記録
・3次元地図によるデジタル表示
・City GMLによる事前フライトシミュレーションによるルート策定
・C.O.S.M.O.S[A.L.I.開発の管制システム](※3)による飛行管制
・トラブル発生時の着陸/墜落場所の予測
・ドローンの飛行中を喚起する看板の設置
・安全管理責任者情報等の表示
・トラブル発生時の着陸/墜落場所の予測も可視化

また、今後はA.L.I.東京オフィス等のドローンオペレーティングルームにて遠隔地の運航管理を行う想定。

※1 環境省と国土交通省が共同で公募した「令和2年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)のうち過疎地域等における無人航空機を活用した物流実用化事業(計画策定に対する補助)」は、輸配送の効率化による二酸化炭素排出量の削減及び災害時も含めた持続可能な物流網の構築を同時 実現する事業を実施するための計画策定を目的に、ドローン飛行の実証を行うもの。 (ドローンを活用した際に必要な課題拠出とマニュアル等作成を含む)

※2 一般社団法人空の駅協議会は空の駅事業をはじめとし、ドローンの普及拡大を通じて住民生活の質の維持・向上と地域の災害に対する強靭さを高めることを目的としている。
事務局:一般財団法人再生可能エネルギー保全技術協会

※3  UAVの群制御、航空管制を可能にするトラフィック管理プラットフォーム。UAVの自動運用の原則となる、機体の健全性、運用の確実性、周辺と運用者の安全性をより確実に計画・監視・管理することを可能にする技術。

ニュースリリースサイト(A.L.I.):https://ali.jp/2021/04/30/7139/